
藍色の夜が わたしを包む 影ばかり連れて 躰も冷たい 甘い囁きは 毒蜜の味 誰かに触れられた夢の残り香 震える指先で 夜風を梳(くしけず)り にじむ心音(おと)を 隠して歩く 繕われた笑顔 仮面は剥げて 硝子の夏服(なつごろも) ひび割れ誘惑 嗤(わら)ってほしいよ 痛み慰みに 紅染めの指は 誓いのなごり 街灯り滲む 明けぬ午前四時 ぎこちない愛撫(なで)に 嘘だらけ 愛してよ わたし以外 消えてしまえばいい 手のひらで 握り潰す 孤独ばかりが 心を蝕(むしば)む 硝子細工の刃 ねえ 救いなんていらない 夜現(よるうつつ)の葬列を ひとり歩く 身体(からだ)の楔(くさび)は あたたかさの偽物 満たされない渇き 舌で舐めあげて この世界で一番 醜いのはきっと わたしだと知ってる 名もなき影が 這いよる寝台(ねや) 抱擁の中で 息苦しくなる 誰もが名誉欲しがる闇夜 わたしは快楽(あまいちぎり)でしか愛されぬ 承認の雨(あめ)に濡れても 心は泥 高鳴るだけの鼓動 虚ろな媚態(びたい) 爪痕は勲章と 嘯(うそぶ)きながら 自己嫌悪(うらみ)を誤魔化し 夜明けを拒む 欲しくて欲しくて 堕ちてゆく先 水果(みずくわ)の香りと痛みの罠 偽善の手のひら 差し出すなら 首筋に刺して 癒えない棘を 「愛されることに慣れてしまえば その分だけ深く孤独になる わたしはわたしを 誰も救わぬと、 何度も夜に言い聞かせる」 軋む心は紅(くれない)に濡れて 白日夢の中 誰かを切望(この)み 絡みつく蔓(つる)のような 愛の嘘 切っても切れない 闇より黒い望み 夜現(よるうつつ)の葬列を ひとり歩く 身体の楔は 幻(まぼろし)の温度 どれほど抱かれても 満ち足りぬ胸で この世界でいちばん 最低の葬り子 藍色の夜は もう醒めやしない 誰も知らない 蜜夜の葬列 わたしひとり 闇に抱かれて 露に濡れた花の 匂いだけ残して

