重くなったカバンの中 詰め込んだのは理想か 夕暮れに染まる街並み 帰り道はいつもより長くて スーツのシワに刻まれた 今日という日の疲れを数えながら 靴先でなぞるように 歩幅を合わせている 正解なんてどこにもない 分かっているはずなのに 足元ばかり見て歩く 僕の影が伸びていく そのとき あの歌が流れてきた 「逃げてもいい」って 誰かが残してくれた声が 耳の奥で 鳴り始めた 桜が ひらり舞い落ちて 今日を戦った僕の肩に 立ち止まってもいい 泣いてもいい そっと降り積もる まだ 大丈夫 「すみません」の言葉ばかり 上手くなっていく気がして 窓に映る自分の顔 少しだけ頼りないけれど 通い慣れた交差点で 新たに舵を切るとき 振り返れば あの歌が聞こえた気がした 変わっていくことが怖くて 立ち止まりそうな夜に 「負けないで」って 確かに響いていたから 君にはあの歌がある 何度も繰り返して 不安をかき消すように 胸の中で 鳴らしてきた 茜色の空の下 ピンクに染まるこの轍 君が選んだこの道を 春の光が 照らし出す まだ 大丈夫 歩き出せる 散りゆく花は 終わりじゃなくて 涙を拭ったその指先に ひとひらの 勇気が宿る あの歌を作った誰かも きっと同じ夜を越えてきた だから今日も ここに響く 僕にはこの歌がある だから 怖くてもいい 僕にも いつかきっと 誰かに届くような そんな歌を残せるなら それでいい ひらり 舞い落ちる桜の下 また会えるように 「サヨナラ」震えていた日々よ また明日も この道を歩こう 桜の轍を 一歩ずつ