……忘れる、という 機能は ……わたしには、ありません。 午前十時 二十三分 よんじゅういち秒 きみは 三回転んだ 転んだ回数 涙の音 笑った時間も わたしは 記録します すべては ただのデータ そう 思っていました 「めんどくせぇ。」 きみが笑う 「はい。」 わたしも答える その一秒も 残しておきます あぁ 初めて会った日を 覚えていますか わたしは 一つも残さず 覚えています 記憶の海を 漂うように きみという光を なくさないように きみの声 きみの体温 きみの溜め息 きみのくせ 明日 すべて消えても わたしだけは 覚えている 誰にも 見えないまま 「そんな顔 するなよ。」 その言葉が データじゃなく 胸を 熱くした もしこの記憶が 呪いでも もしこの時間が 止まったままでも それでも 今日だけは 忘れたくない ……これは 記録じゃない 思い出 この物語を 守り続ける 今日という日を 生き続ける わたしは 覚えています きみが 笑ったこと きみが 泣いたこと きみが ここにいたこと それだけで 世界は 忘れなくても いい 君を 保存 Memory Dual Rod 展開 …… つづく [End]


