
灯りが消えて 天井に 夜がひらく 名前を呼ばれる前の星が ひとつずつ 息をしはじめる 冬を歩く狩人は もう何千年も 帰る場所を探している 銀河を渡る白い翼 誰も弾かない竪琴は 古い旋律の記憶を 宿したまま 巡る 遠い遠い昔のことを わたしたちは いま 見上げている 英雄も 王女も 翼ある獣も 誰かを待った人も いつかはみんな 夜になった 星になった物語を ひとつずつ結びながら わたしたちは まだ名前のない 地上を歩いている 何光年も先まで 届かなくてもいいけれど いま ここで光ったことが いつか誰かに 届いてくれるのだろうか 投影機の音 静かな呼吸 暗闇の向こうで 星だけが ゆっくり巡っている 空を駆けた馬は 翼をひろげたまま 鎖から放たれた娘は 遠い海を 見つめている 離れないよう 結ばれたふたつの影 寄り添うように 集まった 小さな星々 昔の人は 点と点を結んで そこに 生きた証を描いた なら 迷った夜 選べなかった道 言えなかった言葉も 君が隣にいた この一瞬も いつか ひとつの物語に なるのかな 走る まだ 星になる前のわたしたち 夜を越えて 朝を探して 形のない未来へ ただ この胸に残った光を 消さないで 遠い昔の誰かも きっと 自分が星になるなんて 知らなかった だから わたしたちも 未来の形なんて まだ知らないままで 走る 星になった物語が 夜空いっぱいに瞬いて その下で まだ途中のわたしたちがいる 何光年も 何千年も 越えて届いた光より いま 隣で聞こえる君の声を わたしは 信じていたい まだ 物語の途中だから 星が消える 狩人も 白い翼も 竪琴も ひとつずつ 闇へ戻っていく 灯りがついて わたしたちは また地上に戻る 何も変わっていなくても 少しだけ この夜の続きを 歩いてみたくなった

