机の上に 閉じた手帳 返事の山は 明日でいい 窓を開ければ 秋の匂い 鞄に薄い コートを入れる マグカップを ひとつ持って 白い湯気を 見送りながら 予定は少し 白紙のまま 急ぐ理由を 置いていこう 靴音だけが ついてくる こんな時間を 待ってたね ねえ、紅葉を見に行こう 仕事の続きは 帰ってから 赤い葉っぱが 肩に落ちたら 笑って拾って ポケットへ ねえ、今夜は旅に出よう 行き先なら 風に聞こう 休むことも 大事な予定 ほら、心が軽くなる 駅の売店 湯気の立つ茶 窓辺を流れる 山の影 名前も知らない 小さな駅で 降りて歩けば 川の音 マグカップは まだ溫かい ポケットには 赤い葉っぱ 誰も急かさない この時間が いちばん贅沢だった 予定より 少し遠回り それでもいいと 思えたんだ ねえ、紅葉を見に行こう 仕事の続きは 帰ってから 赤い葉っぱが 肩に落ちたら 笑って拾って ポケットへ ねえ、今夜は旅に出よう 行き先なら 風に聞こう 休むことも 大事な予定 ほら、心が軽くなる 明日のことは 明日の私に ひと晩ぶんだけ 預けておこう 冷えた指先 包むマグカップ 窓の向こうは 深い秋 この湯気が消えるまで もう少し ここにいよう ねえ、紅葉を見に行こう 仕事の続きは 帰ってから 赤い葉っぱが 肩に落ちたら あなたと笑って 歩いてこう ねえ、今夜は旅に出よう 帰る場所なら ここにある 休むことも 大事な予定 ほら、明日が少し好きになる それでいい 山の色を 胸にしまって ゆっくり帰ろう また来ようね マグカップの中 まだ秋が殘ってる 紅葉をもう一度 見に行こうね 「またね。」


