春は明るすぎるから 待ち合わせは裏口 川の匂い 廃屋の闇 シャッターの錆びた継ぎ目 空を裂いて立つ塔 見上げて 空を刺して 空に立ちっぱで 縫い留め損ねたままの 剥き出しの空間を感じる あいつは小さな鞄を持ち 自分は持たなくていいものを肩に 未来への夜は 古い家から 逃げ出す夜であって 裂け目に咲く草に 輝く粒子が反射していて あいつはしゃがんで まだ雨、残ってる、と呟いて スカイツリーの裏で 昨日の空の破片を受け止めて 真夜中だというのに 海か太陽の名前を 思い出しかけているみたい “Are those white pearls?” she asked of me Beneath the night so wild and free あいつの爪が光つまむ その手は濡れない 濡れない だけど雨だよ 触ると冷える 本当の雨は 朝になって降り始める 遅れてくるものはどうして いつも本当なんだろう 壊れたギャラリーの棚 ガラス、曇り続けているが 埃を被った器だけが カラカラと乾燥し続ける スカイツリーの裏で 昨日の空の破片探してる 夜露を吸い 濡れて 乾いて 剥落して 思い出す者もいなくなったカケラ “Just morning dew,” I should have said And vanished then ere hope was dead 浅い水溜り 落ちていた破片に しゃがみ込む 振り返ると 縫い留めていた糸はほつれて 全ては消えて 濡れた鞄が 形を失っている 新しい空だけは青くて 名前を叫んだ 床に散っていた輝く粒子は 薄い層を持ち始め 青と赤のグラデーションを ランダムに遷移する 昨日の空の破片 スカイツリーの裏で 青さを増す空を探してる “Are those white pearls?” she asked of me Beneath the night so wild and free “Just morning dew,” I should have said And vanished then ere hope was dead その日 次の日 草の先の輝きと あいつの声だけを 思い出した まだ雨、残ってる 乾かない言葉  硬い薄さ スカイツリーの裏で 受け止めた空の破片、破片、破片