最後の明かり まだ消さないで 帰れない理由 言わせないで お先にの声が 遠ざかる 冷めたコーヒー 午前零時 終わった資料を また開く あなたも 席を立たない 昼間は 名字に「さん」をつけ 目が合う前に そらすくせに 誰もいない廊下では ずるいくらい 傍に来る 先に行ってる 小さな声 返事の代わりに ヒールを脱いだ 夜の更衣室 鏡の中で 目を合わせて 昼間の続きを ここには 持ち込まないで 夜の更衣室 名前を呼んで もう一度 ロッカーに預けた 真面目な私 朝まで迎えに 来ないで ブラウスの襟を 直すふり あなたの曲がった タイに触れる 帰らなくていいの? なんて 帰す気もない声で 聞く 狭いベンチに 置いたバッグ 携帯の光 伏せたまま あなたが 少し離れると 今度は私が 引き寄せる 命令口調は 似合わないわ ここでは私の 返事を待って 夜の更衣室 鏡の中で 目を合わせて 優しいだけなら こんなに 待たせないで 夜の更衣室 名前を呼んで もう一度 衣擦れの音が 静かな部屋に 二人の秘密を 落とす 好きかどうかを 聞けば終わる 気がして あなたの肩に 額をあずけた 時計はちゃんと 進んでいるのに 帰ると言える 私がいない 明日の朝には 他人みたいな顔 それでも今は こっちを向いて 夜の更衣室 鏡の中の私を見て 仕事の話で この夜を ごまかさないで 夜の更衣室 名前を呼んで もう一度 ロッカーに預けた 真面目な私 もう少し 迎えに来ないで 夜の更衣室 離した指を またつないで 廊下に戻れば いつもの二人 今だけ 鍵を開けないで 襟を直して 髪をほどいて 少し時間を ずらして帰る お疲れさま いつもの声で あなたの匂いを 連れて帰る

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