深い夜の 社に立ち 月の光 石畳を照らす 風も止まり 時も止まり 静寂だけが そこにある 白い息を ひとつ吐いて 静かに手を 合わせる 鈴の余韻 遠く消えて 祈りの刻が 始まる 神よ―― 今 この身を清め この心を 捧げます 言葉にならない 想いを抱いて ただ あなたを見上げる 声なき声が 闇の中から 僕の心に 触れてくる 「恐れるな」 その一言だけで 涙が 頬を伝った 社の奥で 揺れる影 月明かりに 浮かぶ神の気配 手を合わせ 頭を垂れて すべてを 委ねる 言霊よ 天へ昇れ この願いを 神のもとへ 過ぎた日々も 罪も 迷いも この夜に 置いてゆく 清らかな風が 頬を撫でる それは答えなのか ただの風なのか 僕には わからない それでも―― 声なき声を 僕は確かに 聞いた 夜明け前の 社に 淡い光が差し込む 祈りは終わり 静寂が戻る 最後に一度 深く頭を下げる 「どうか 見守ってください」 鳥の声が 遠く響く そして僕は 朝の光の中へ 静かに歩き出す