
水たまりの輪舞曲
雨が上がった 夜の街 濡れたアスファルト 月を映す 誰かが落とした 小さな夢を 踏まないように 歩いていた 硝子のような空を ひとつ ふたつ 数えて 名前のない感情を ポケットの中に隠した 君は笑って言う 「明日は晴れるかな」 そんなありふれた言葉が なぜか胸に残った 遠くで鳴る 終電のベル 夜を切り裂く 六本の弦 言葉にならないものほど 音になれば 綺麗だった ころころ ころころ 水たまりを転がって 月明かりを蹴飛ばして 僕らは夜を踊る さよならなんて まだ言わないで この世界が終わるまで 輪舞曲は続いてゆく 黒い羽根をまとって 街灯の下を歩く 誰も知らない物語を 君だけに聞かせよう 「これは運命なのかな」 なんて 少し笑った 答えのない問いほど 夜にはよく似合う 言葉を探す 指先が まだ白紙の上を彷徨う ならば今夜は無理に 名前をつけなくてもいい ころころ ころころ 小さな星が転がって 夜空の端をくすぐって 僕らの影を揺らす 困ってしまって にゃんにゃんにゃん―― ……なんて歌えば 君は笑うだろうか もしも世界が 僕らを忘れても 残った音だけは 消えないでいて 君が紡いだ言葉と 僕が鳴らした六本の弦 重なったその瞬間を どうか 夢にしないで ころころ ころころ 水たまりを飛び越えて 月明かりより眩しい 君の声を聴いていた さよならなんて もう言わなくていい 終わらない夜の中 輪舞曲は続いてゆく ころころ ころころ 朝焼けへ転がって いつかこの歌さえも 思い出になるとしても 君と鳴らした この音だけは 誰にも奪えないまま 夜の底で 光ってる 雨上がりの水たまり 小さな月が揺れていた
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