遠くで鳴る無線 擦れるブーツの音 赤く点滅する廊下 重たい空気を吸い込んだ 眠れない街の奥 煙が滲んでいる 防火扉の向こう側 誰かの声がした 汗が張り付く背中 曇っていく視界 “慣れるよ”って言葉だけ まだ上手く信じられない 崩れそうな天井を 見上げる暇もなく 熱を押し返すように 前へ進んでいく 閉じ込めた呼吸 震えそうな感情 立ち止まれば全部 聞こえてしまいそうで 防火扉 閉まる音が響いてる 守るために今日も 何かを置いていく 焦げた匂いの中で 朝が近づいていた 無傷じゃない心ごと 抱えたまま歩いてく 静まり返った廊下 転がる避難標識 消えかけた蛍光灯が 何度も瞬いていた 外へ出た瞬間 冷たい風が刺さる 助かったって声だけ 少し遅れて届いた 制服に残る煙 簡単には消えない ちゃんと笑えてるのか 最近少し分からない 赤く腫れた指先 外しかけた装備 何もなかったみたいに 街は朝を始めてく 誰かの日常を 守れたはずなのに 空っぽになった胸だけ まだ熱を持っていた 防火扉 開いた先の静けさ 終わったはずなのに 鼓動だけ残ってる 壊れそうな夜ほど 声にならなくて それでもまた次へ 足を向けてしまうんだ 防火扉 閉じるたび思い出す 怖くないわけじゃない それでも向かっていく 白み始めた空に 煙が溶けていった 誰かの明日のために 今日も火の中を進む