
Alley Bar №87 Act.5
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V4.5+
バーの空気は濃く、ジャズのリズムが胸を押す。 男がドアを開け、俺に向かって一直線に歩いてくる。 その視線の奥には、殺意だけが透けていた。 同じ匂いがする――奴も俺を嗅ぎつけている。 気づくと、女はもういない。 バーテンが影のように動き、裏口へ逃していた。 彼の動きは迷いがなく、その道のプロだと理解した。 女の呼吸だけが、遠くの闇で確認できる。 俺は座ったまま、男との距離を測る。 氷がグラスの中でわずかに転がる。 足元の影と、壁越しに漂う煙。 すべてが警告のように胸に響く。 男は一瞬止まり、俺の目をじっと見た。 けれど、俺は知らないと答えるだけだ。 奴は眉をひそめ、再び動き始める。 危険の匂いだけが、その場に残った。 裏口の扉を押すと、冷たい夜風が顔を打つ。 女はそこに立っていた。 恐怖と覚悟が混ざった瞳、濡れた髪。 その一瞬で、事情を感じ取った。 恋人の死。昔の仲間だった。 女の姿から、殺されたことも伝わる。 言葉はなくても、意味はわかる。 俺は黙ってうなずき、彼女の背後に目を配る。 路地に漂う潮の匂いと夜の湿気。 追手は、まだ近くにいる。 影は確実に近づいている。 この街の危険は、いつもそうやって忍び寄る。 女と俺だけの時間が静かに流れた。 長い夜は、まだ動き始めたばかりだ… (第一部完て感じ?)

