
ああ 火よ 天の火よ 緑の野を渡り この環を照らしたまえ 古き泉に 銀の花を浮かべ われらは今宵 御名を呼ばん 白樺の枝に 布を結び 清き露もて 額をぬらす 麦の穂は揺れ 鹿は森に伏し 遠き丘より 角笛が響く 昼のもっとも長き日に 影のもっとも短き時 火と水のあわいに立ち われらは祈りを捧ぐ 風の乙女よ 森の母よ 名もなき精霊よ 花冠を受け取り この地を守りたまえ 踊れ 踊れ 火の環を巡れ 金の陽が 西へ傾くまで 歌え 歌え 古き言の葉 女神よ 精霊よ われらが声を聞きたまえ 実りを 命を 帰るべき森を 来たる季節にも なお恵みたまえ 陽は高く 水は清く 火よ 風よ われらの輪に 宿りたまえ 山査子の花を 髪に挿し 赤き炎を 三たび越える 若き者らは 手と手を結び 老いたる者は 昔を語る この火は 祖らの火 この歌は 子らへの歌 絶えることなき 夏の契りを 星の下にて 今また結ばん 泉の姫よ 月の守り手よ 草葉に眠る者よ 蜜と乳を受け取り われらを見守りたまえ 踊れ 踊れ 火の輪を巡れ 金の陽が 夜へ溶けゆくまで 歌え 歌え 古き言の葉 女神よ 精霊よ われらが願いを受けたまえ 喜びを 勇気を 分かち合う明日を 巡る季節にも なお与えたまえ ひとつの火より 百の火が生まれ ひとつの歌より 千の声が立つ 森よ 応えよ 大地よ 鳴れよ 石の輪よ 古き門よ 今宵ひらき われらを迎えたまえ ああ 名を持つ者も 名を持たぬ者も 羽ある者も 角ある者も 木の根に眠る 小さきものまで この祭りへ 来たりたまえ 火よ 高く 足よ 強く 息よ 深く 心よ ひとつに 回れ 回れ 回れ 回れ 陽の尽きぬ この一夜 祈れ 祈れ 祈れ祈れ 女神の御前に 声を上げよ 踊れ 踊れ 夜明けを迎えよ 消えぬ火を 胸に抱きながら 歌え 歌え 新しき言の葉 女神よ 精霊よ われらと共に在りたまえ 実りを 命を 愛しきこの地を 次なる夏至まで なお守りたまえ 陽は沈み されど火は残る 歌は止み されど森は覚ゆ 風の乙女よ 森の母よ 今宵の祈りを 露へと変え 明日の野辺に 降らせたまえ 火は眠らず 水は巡る また夏の門にて われらを会わせたまえ

