
輪
[序] 輪(わ)は閉(と)じて 名もなき光(ひかり) 巡(めぐ)りけり [一] 砂(すな)に刻(きざ)まれし 符号(ふごう)たち 波(なみ)に洗(あら)われ なお残(のこ)る 遠(とお)き未来(みらい)と 呼(よ)びしもの 既(すで)に此処(ここ)に 眠(ねむ)りたり 石(いし)は語(かた)らず されど知(し)る ひび割(わ)れの奥(おく)に 声(こえ)宿(やど)る scrollする指(ゆび) 止(と)まらぬまま 時(とき)の層(そう)を なぞりゆく [前] 始(はじ)まりすらも 幻(まぼろし)にて 終(お)わりもまた 影(かげ)なり [フック] 廻(めぐ)れ 廻れ 見えぬ環(わ)を 今(いま)と昔(むかし) 溶(と)け合(あ)いて 触(ふ)れし記憶(きおく)は 誰(た)がものか 我(われ)すら知らぬ 我なりけり [二] 灯(ひ)なき空(そら)に 図(えが)く線(せん) それを人(ひと)は 奇跡(きせき)と呼(よ)ぶ されどその影(かげ) 裏返(うらがえ)せば 古(いにしえ)の手(て)の 残像(ざんぞう)なり 名前(なまえ)もなきまま 交(まじ)わりて 意味(いみ)も持(も)たずに 繋(つな)がりぬ ログに沈(しず)みし 幾千(いくせん)の 我(われ)らの影(かげ) 揺(ゆ)らぎたり 草(くさ)生(は)ゆるほど 気付(きづ)きたる 線(せん)は円(えん)へと 還(かえ)りゆく 終点(しゅうてん)と見(み)し その先(さき)に また同(おな)じ灯(ひ) 灯(とも)りたり [前] 遠(とお)きものほど 近(ちか)くして 今(いま)こそすべて 露(あら)わなり [フック] 廻れ 廻れ 時(とき)の底(そこ) 過去(かこ)も未来(みらい)も 夢(ゆめ)のごと この瞬間(しゅんかん)にて 重(かさ)なりて 我(われ)は幾度(いくたび) 生(い)きるやら [間] 誰(た)が為(ため)なる この反復(はんぷく) 問(と)う声(こえ)すら 既(すで)に既視(きし) [終フック] 廻れ 廻れ 名もなきまま 始(はじ)まりもなく 終(お)わりもなし ただこの鼓動(こどう) 確(たし)かにて 影(かげ)は光(ひかり)へ 還(かえ)りゆく [結] 未来(みらい)とは 古(ふる)き記憶(きおく)の 夢(ゆめ)の続(つづ)きなり

