
冷たい風が 指先を刺す 静まり返った 街の中 ひとりで立ち尽くす僕の耳に かすれるような “さよなら” が残っていた 帰らぬ声を探して 真っ白な息を吐きながら駆け抜けた なのに どんなに手を伸ばしても 温もりだけが 届かない 薄い布団の匂い いつも笑ってくれたその人が もうこの世にいない その事実が 僕を凍らせた 強い人になりたかった 泣いてばかりの自分が 悔しくて 冬の空に 叫びた 「どうして? どうして?」 答えはどこにも なかった 知ってしまったんだ “別れ”には味があることを 唇に残る 苦くて 温かくて 苦しい味が さよならを受け入れるたび 人は少しずつ 大人になっていく 雪のように消えていったその人を 僕は今も 胸の中で抱きしめてる 学食の匂い 霜柱を踏む音 何もかも変わらないのに 自分だけが 変わってしまった気がした 友達の笑い声が どこか遠く聞こえた “あいつは変わったな” と 自分でも思った だけどそれでよかった 失ったものが 大きすぎたから 触れられないけれど 確かにそこにいる もういないはずのその人の 言葉と笑顔が 心の底に 光を灯す さよならを知って 僕は初めて強くなりたかった 痛みを数えるたび 人間は優しくなれるって どこかで聞いたことがある 消えていく雪の中 ひとつだけ温かいものがあった それは その人が残した “生きろ” という 静かなエールだった 冬の夜の静寂 しんしんと落ちる雪 ひらひらと舞う彼方に 手を伸ばす 届かなくていい もう奪われるだけの僕じゃない その人の分まで 次の朝へ進むんだ 別れの味を知った十代の僕よ 苦しくて 苦くて 温かかった あの日の涙は 今の僕をつくってくれた 雪解けの水が川になるように 痛みもやがて力に変わる 失った人の声が 「大丈夫」 と今もささやいてる ――別れの向こうに 僕は歩いていく 雪が解けて 兆しの光がまぶしい 君がいない世界でも 僕は前を向く それが僕の 「さよなら」の答え

