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Varigner II – Prologue VI #Varigner

J-popの館さんの世界観から自由参加で曲とストーリーを作って楽しむバリグナーの2期。 停戦から戦争再開までの「プロローグ」全9節中第6節です。 今回はインストゥルメンタル曲です ギキューン🍜 🍜🍜🍜🍜🍜🍜🍜🍜🍜🍜 ◆ プロローグ第6節 ― バリグナー暴走事件 ― 帝国前線基地〈アステリオン前哨〉の夜は、 いつもより重かった。 空調の低い唸りが、 まるで地下深くで眠る獣の呼吸のように響いている。 整備兵カイル・ロッシュ伍長は、 寝台の上で浅い眠りから引きずり戻された。 《緊急警報。  第3ハンガーにて機体異常発生。  全整備員は直ちに集合せよ》 「……は? こんな時間に?」 カイルは跳ね起き、 半ば転がるように廊下へ飛び出した。 同じように寝起きの整備員たちが走り出す。 第3ハンガーの扉が開いた瞬間、 カイルは息を呑んだ。 「……なんだ、これ」 ハンガー中央で、 バリグナー〈G-07 グレイハウンド〉の一機が、 まるで“何かに怯える獣”のように身を震わせていた。 起動しているはずのない時間帯。 パイロットも乗っていない。 整備員が触れた形跡もない。 だが── 機体は自律起動していた。 「誰だ、勝手に起動シーケンスを走らせたのは!」 整備主任が怒鳴る。 「いえ、主任! 誰も触ってません!」 ミナが叫ぶ。 その時、 機体の光学センサーが赤く点灯した。 《識別不能──  敵性反応検知》 「敵性反応……? ここは基地内だぞ!」 カイルが叫ぶ間もなく、 バリグナーはハンガーの拘束アームを力任せに引きちぎった。 金属が悲鳴を上げ、 火花が散る。 「全員退避! 退避しろ!」 整備員たちが散り散りに逃げる中、 暴走したバリグナーは、 まるで“何かを探す”ように頭部を左右に振った。 そして── 基地外へ向けて走り出した。 ◆ 帝国前線司令室 「……バリグナーが暴走した?」 報告を受けた帝国軍前線司令官 ハルド・ヴァンデル中佐 は、 険しい表情でモニタを睨んだ。 「自律起動です。  パイロットは乗っていません。  識別システムが“敵性反応”を誤検知した模様で──」 「誤検知で基地を飛び出すなど聞いたことがない。  進路は?」 「……停戦ライン方向です」 司令室の空気が凍りつく。 「連邦側はまだ反応していませんが、  このままでは監視網に捕捉されます」 ハルド中佐は低く唸った。 「……まずい。  これは“偶発的衝突”では済まないぞ」 ◆ 同時刻:地球連邦前線司令室 「帝国側の機体が停戦ラインに接近中?」 報告を受けた アリテアル大佐 は、 眉をひそめた。 「識別は?」 「帝国軍バリグナー。  ただし挙動が不自然で……  どうやら制御を失っているようです」 「……暴走か」 アリテアルは短く息を吐いた。 「連邦側の監視ドローンは?」 「すでに捕捉。  警告射撃の準備に入っています」 アリテアルは即座に命じた。 「待て。  撃てば帝国は“攻撃された”と判断する。  停戦が崩れるぞ」 「しかし──」 「警告信号を最大出力で送れ。  帝国側に“暴走機の停止”を要請しろ。  撃つな、絶対にだ」 だが、その瞬間── 通信士が叫んだ。 「大佐! 監視ドローンが……発砲しました!」 アリテアルの拳が震えた。 「……誰が撃てと言った!」 だが、もう遅かった。 ◆ 停戦ライン付近 連邦ドローンの警告射撃が 暴走バリグナーの装甲をかすめた。 次の瞬間、 暴走機は反撃行動に移る。 《敵性反応確定──迎撃モード移行》 バリグナーの砲撃がドローンを撃ち落とし、 停戦ラインに新たな赤い警告マーカーが灯った。 追跡車両の中で、 カイルは絶望の声を漏らした。 「……終わった……」 ミナは歯を食いしばる。 「これ、絶対に“事故”じゃない……  誰かが、意図的に……」 彼女の言葉は、 爆発音にかき消された。 ◆ 地球連邦前線司令室 アリテアル大佐は、 崩れ落ちそうなほどの怒りと焦燥を押し殺しながら言った。 「……これで帝国は“連邦が攻撃した”と判断する。  停戦は……もう持たないかもしれん」 副官が震える声で言う。 「大佐、どうされますか」 アリテアルは静かに答えた。 「……戦争を望む者たちの思うままにはさせない。  全通信網を使って帝国側に連絡を取れ。  “暴走機の誤作動”であることを伝えるんだ」 だが、 その通信は── 何者かによって妨害されていた。 ◆ クロウ・インダストリーズ本社 モニタに映る暴走機の映像を見ながら、 ヴェルナー・クロウは静かに目を細めた。 「……始まったようだね」 クラリスが隣で微笑む。 「偶発的衝突から、  “不可解な暴走”へ。  これで両陣営とも、  相手を疑わずにはいられませんわ」 ヴェルナーは頷いた。 「市場は刺激を求めている。  そして刺激は、  いつだって“恐怖”から生まれる」 彼はコーヒーを口にし、 満足げに呟いた。 「さて──  次はどの火種が燃え上がるのか、楽しみだ」