午前零時 鍵をかける音 この日記だけが 私を肯定する 君の名前を書くたび インクが滲む それは紙のせいじゃない たぶん 私のせい 笑った理由を 君は忘れてる でも私は その角度まで覚えてる ――おかしいのは 私? それとも 何も知らない君? 君は知らない 私の世界で 君は何度も 振り向いて 逃げられなくて 優しさを 無自覚に振りまく罪を 私はちゃんと 数えている 視線が重なった 気がしただけで 心臓が壊れる でも それが快感 「偶然だよ」 誰かが言う 偶然を信じるほど 私は無垢じゃない 君の沈黙を 好意に訳して 拒絶を 誤字だと思い込む ねえ 本当はもう 気づいてるんでしょ? 君は知らない 私の頭の中 君がいない未来は 何度も書いて 何度も破った 消せない想像だけが ページを埋めて 私は今日も 正常を演じてる もしも君が 私を選ばなくても それは裏切り じゃなくて “予定外” だって 君は最初から 私の物語に 登場したんだから 君は知らない 君だけの私が 一番怖いのは 狂ってることじゃない この日記が いつか終わって 君の名前を 書けなくなること 午前3時 最後のページ 「愛してる」は まだ 伏せ字のまま


