
薄紅の 花が散る 水面を滑る 筏のように 流れる月日は 止められず 掌を すり抜けてゆく 囲炉裏の火 爆ぜる音 お粥が煮える 僅かな間に 私は幾度 恋をして 幾千の 涙を拭ったのでしょう あな、儚し 黄金の城も 誉れの歌も 目覚めれば 指の隙間をこぼれる砂 夢に酔い 夢に覚め ただ一時の 香しき風 残り香だけが ここにあります 化粧(けわい)して 袖を振り 誰がために 舞う夜の宴 愛しき人の 温もりも 朝露に 溶けて消えゆく 煮炊きの煙が 空へ昇る 私の命も あの雲のよう 形を変えて 消えてゆくなら せめて今だけは 美しく あな、儚し この世は全て 一炊の夢 目覚めれば 温かな湯気の中 夢を愛で 夢を惜しみ 今宵もそっと 瞳を閉じましょう …また、次の夢まで さよなら …夢

