
静寂の終点【装甲戦士ガルド16】
[Intro] 知らない天井 響く音 ゆっくりと 目を開けた [Verse] ぼやけた世界に 君の声 何かがほどけていく よかったと つぶやくその声が 胸にしみこんでいく [Pre-Chorus] 当たり前のようで 違うこの時間 戻れたはずなのに [Chorus] この手の中に 感じる光 まだ消えていない 守りたいだけなのに 何かを壊してしまいそうで [Verse 2] 笑う顔の裏に 隠された 言葉にできないもの 君の無理した笑顔が 今も刺さる [Pre-Chorus] このまま進んだ先に 何が残るのか 答えはないまま [Chorus] この手の中の 危うさだけが すべてを変えていく 守りたいものほど 遠くなってしまいそうで [Bridge] 聞こえてくる あの声が まだ残ってる [Breakdown] ……それでも [Build-Up] 選んだはずの 道なのに [Final Chorus] それでも行く この先へ 答えのないまま この手に残るものを ただ信じて [Outro] 静かな夜が 崩れていく [Ending] もう始まっている 【Episode Story】 【第16話・静寂の終点】 白い天井。規則的な電子音。――ピッ……ピッ……静かな病室で主人公の指先が、わずかに動く。ゆっくりと、目を開く。ぼやけた視界。 「……ここは」かすれた声。その瞬間。 「――!」椅子が音を立てる。すぐそばで、誰かが立ち上がる。 「……よかった……!」幼馴染だった。目が赤い。 ずっと起きていたのが分かる。 「気がついた……ほんとに……」声が震えている。 主人公はゆっくり視線を向ける。 「……ごめん」短く答える。幼馴染は一度、言葉を失う。それから、少し強く言う。 「三日だよ?」主人公の表情がわずかに動く。 「三日も、ずっと……目、覚まさなくて……」 視線が落ちる。手をぎゅっと握る。 「……このまま、意識が戻ってこないかもって…」 言葉が詰まる。言いすぎたと思ったのか、すぐに顔をそらす。 「……ごめん」 小さく笑う。 「意識がもどって本当…良かった…」 でも、その声は明らかに無理をしている。主人公は少しだけ沈黙する。 何か言おうとして――やめる。代わりに、ゆっくり言う。 「ごめん……心配かけた」 幼馴染は一瞬だけ顔を上げる。すぐに笑う。 「ほんとだよ」少しだけ強がる声。 「無茶ばっかりするから」 一歩、近づく。 「……ねえ」少しだけ迷う。言葉を探す。 「もう……」 ――ズクン。主人公の胸の奥が脈打ち、指先が、ぴくりと震える。 「……っ」視線を落とす。手のひら。淡い光。すぐに消える。 (……この感覚)頭の奥に、声がよみがえる。 『……あなたに託します』黒髪の少年。静かな目。 『この力を使えば、人間には戻れなくなる可能性があります』 主人公の呼吸がわずかに乱れる。 (……本当にこのまま……) 幼馴染が呼びかける。 「……どうしたの?」 主人公は一瞬、現実に戻る。 「……いや」短く答える。だが。その手は、わずかに震えていた。 主人公の意識が戻った数日後の夜、遺跡近くの街の仮設拠点。幼馴染の父と記者が二人向き合っていた。 「……状況は最悪だ」父が低く言う。記者は資料を見つめる。 「情報は揃ってる。だが――」 一拍。 「勝つ方法がない」重い沈黙。 机の上には、これまでのガルドとオルディアの戦闘データがまとめられている。 だが、結論は一つ。 「どんなにシミュレーションしても勝ち目が…ない」記者が吐き捨てるように言う。 父は目を閉じる。 そのとき。――ドンッ 低い衝撃音。二人が同時に振り向く。 窓の外。空が赤い。炎。煙。 記者が呟く。 「……まさか!?」 父の声が震える。 「……ついに」 さらに爆発音。街のあちこちで炎が上がる。 「……あいつが動いた!?」 言葉が重く落ちる。 侵略が始まった。燃え上がる街。崩れる建物。逃げ惑う人々。 その中を――ゆっくり歩く影。青い髪。無邪気な笑顔。オルディアの王。少年は炎を見上げる。 「……きれいだね」 楽しそうに笑う。足元で瓦礫が崩れる。人の悲鳴。だが、気にしない。 「でも」 少し首を傾げる。 「まだ足りないな」 視線が遠くへ向く。 「ねえ」 小さく笑う。 「早く見せてよ」 「君の『続き』をさ」 炎の中。その笑顔だけが、不気味に浮かんでいた。


