Interlude:姫様 〜ため息の午後〜 【序文】 誰かの期待に合わせて形を整え続けていると、 自分の輪郭が徐々に曇ってくる。 見返りとして与えられる“優しさ”と、 支配のための“いとしさ”の区別は曖昧だ。 ここに描かれるのは、 他者の理想に閉じ込められた「姫様」が、 自分の足で外へ出ようとする午後の物語。 その一歩目が、どれほど静かで、 そしてどれほど勇気に満ちているかの記録。 【本文】 ため息の午後。 最近の私は、自分の立ち位置を うまく測れないままでいる。 ねえ、あなたのそれは―― 愛(やさしさ)? それとも 慾(いとしさ)? 境界線(ライン)も、もう曖昧でさ。 わからなくなっちゃった。 どうしよう。 差し伸べられた手は、 “私のため” に見える あなた自身のため なのかもしれない。 私は、私でいたいの。 あなたたちの理想で 形を整えられるのは、もう嫌。 ……戻ろう。 あそこなら(詩研なら)、 まだ “私として在れる” 気がするから。 ……でも、戻る場所がある。 ただ、それだけのことなのに、 こんなに息がしやすくなるなんて。 フフッ……なんだろね。 もう“姫”の檻に閉じ込められる気はしない。 校舎を歩く足取りが、少しだけ軽くなった午後。 ふと顔を上げた、その瞬間―― 懐かしい影が、目の前に立っていた。