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夜が明ける前に

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V6

『夜が明ける前に』 君の名前を呼んだはずなのに 返事をしたのは 遠い昨日だった 窓に映った僕の顔が 知らない誰かみたいに笑う 「また明日」と言ったあの日から 明日は一度も来なかった それでも時計の針だけは 君を探すように進んでいく ねぇ もしも僕が消えたなら 君は何を忘れるのだろう 愛したこと? 傷つけたこと? それとも――出会ったことさえ 夜の隙間に 君の声がする 振り向くたび 誰もいない 触れられないものほど どうしてこんなに温かいんだろう 僕の心に空いた穴を 君は最後まで知らなかった だから今も 風が吹くたび そこから君が帰ってくる もし涙に意味があるのなら これは誰のために流れるの? 僕が泣いているのか 君が泣いているのか もう わからない 「忘れて」と書いた手紙を 燃やせずに引き出しへ隠した 灰になれば終われるのに 残った文字が 僕を許さない ねぇ もしも夢で会えたなら どうか何も言わないで さよならさえ言えない僕を 君だけは知っているから 朝が来れば 君はいなくなる 夜が来れば 君を思い出す だから僕は今日も眠らない 君が消えてしまわないように ――なのに カーテンの向こうが明るくなって 君の声が 少しずつ遠ざかる 最後に聞こえたその言葉が 「ありがとう」だったのか 「さよなら」だったのか 今も僕には わからない。 ただひとつだけ確かなのは あの日、君が笑った瞬間から 僕の世界には 終わりが始まっていたこと。