埃を払った トマーティン グラスに注げば 蘇る微熱 縁を指でなぞる 悪い癖は あなたからうつったまま、抜けないや ふたりで開けた日から 止まったボトルの 残り数センチを 今夜は飲み干そうか 完璧に片付いた 1LDKは 自由で、静かで、少しだけ広すぎる 複雑に絡み合う テンションコードみたいに 解けない記憶も 今は悪くないBGM 溶けかけの氷が カラン、と鳴って 琥珀色に 透けるミッドナイト 綺麗すぎる思い出は、少しだけ度数が強いみたい 素足で歩く フローリング 足首を撫でる うねるベースライン 「君にはこういうのが似合う」って 置いてったプレイリスト、まだループしてる 未練じゃないし、泣きたいわけでもない ただ、この気怠い余韻を 味わいたいだけ 時計の針が てっぺんを越える頃 ひとりの夜が、やっと私に馴染んでいく 複雑に絡み合う テンションコードみたいに 曖昧な感情も 今は心地よいグルーヴ 空になったグラスの 底にこびりつく 微かな甘い匂い 不揃いなふたりだから、惹かれ合ったんだよね ヘッドライトが 窓枠を滑る 誰かの夜と 私の夜がすれ違う 氷が完全に 水へ変わるまで あと少しだけ、この揺らぎに 酔わせて 複雑に絡み合う テンションコードみたいに 解けない記憶も 今日は悪くないBGM 最後の一滴を 喉に流し込んで 琥珀色に 透けるミッドナイト 明日の朝には きっと、新しい風が吹くから おやすみ、私の、甘いノイズ