
声が、出ない。 心の中で叫んでいるのに 外には、何も届かない。 誰も、気づかない。 なぜ? どうして? 問いには答えなく 時間だけが 冷たく進んでいく。 自問自答なんて この瞬間には、無力だ。 目の前で起きたこと── 混乱。悲鳴。そして…笑い声? 意味もなく 誰かが疑問を吐き出す。 「何?」(ざわざわ) 「何があったの?」(ガヤガヤ) 「えっ?」「マジ?」「嘘でしょ?」 その視線の先にある現場へ スマホのカメラが向けられる。 誰も 手を差し伸べない。 「大丈夫?」の一言すら、ない。 ただ、撮る。 ただ、見てる。 ただ──傍観している。 …そして私も 動けずにいた。 足が竦んで 息もできなくて 視線だけが、そこに釘付けだった。 やっと動けた時には すべてが、もう 終わっていた。 ──ごめん…私… ──動け…なかった。 ──何も、できなかった。 …私もきっと、 あの人たちも同罪だね。

