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『誰かの朝になる』

V4.5-ALL

まだ夜の残る商店街 シャッターの音が響いてる 午前四時の作業場に オーブンの灯りがともる 冷たい水に触れた手で 今日も生地をこねながら 眠る街の向こう側を 静かに思い浮かべてた 焼き上がるまでの時間だけ 窓の外を眺めている 誰にも知られない場所で 朝は少しずつ近づく 誰かの朝になる 焼きたての香りになる 急ぐ人の足元に 小さなぬくもりを置いて 誰かの朝になる 名前なんて残らなくても 今日もここで生きている その証を焼きながら 東の空が白みはじめ 通学路に風が吹く 最初の扉が開くころ 店にも光が差し込む 笑顔でパンを選ぶ人 眠そうな目をした子供たち それぞれの一日のために 今日も香りを届けてゆく うまくいかない日もある 涙をこらえた夜もある それでも朝はやって来る 何度でもやって来る 誰かの朝になる 焼きたての希望になる 頑張れなんて言わなくても そっと背中を温める 誰かの朝になる それだけで十分だから オーブンの灯りの中で また新しい一日が始まる 誰かの朝になる 焼きたての香りとともに まだ見ぬ誰かのために 今日もパンを焼いている 朝は来る 昨日泣いた人にも 朝は来る 今日を生きる人にも 焼きたての香りは 誰かの小さな光になる 誰かの朝になる 今日も変わらずここで 誰かの朝になる 静かな誇りを抱いて 誰かの朝になる 焼きたての香りとともに まだ見ぬ誰かのために 今日もパンを焼いている