"あはれ世は夢幻の舞台なり" 出雲の巫女が袖ひるがへし 花の都に影を落とす 紅き衣は焔のごとく 舞へば天下も息を呑む 恋と芸とを両の手に 我が身は流るる浮舟なり 運命の糸は誰がためぞ 舞へや舞へや阿国の舞 紅蓮に咲くは恋の華 名古屋山三郎が影 月下に重ねし契りかな 我はかぶきの先駆けと 世の理を嘲りて立つ 汝が舞姿ひと目見て 心は既に奪はれぬ 刹那の夢と知りながら 刃のごとき恋に堕つ 天命背負ひて舞ひ続け 天も裂けよと願ひけり 舞へや舞へや命燃ゆ 鼓は戦の音に似て 尺八の嘆き空を裂き 二人の影は伝説へ 夢か現か白き月 我が名は風に散るとも されど汝が舞ひし跡 永久に世を照らさん 舞へや舞へや阿国よ 紅涙は星となり かぶき踊りの始まりを 千代に八千代に刻まむ あはれ舞台は夢のごと されど名のみぞ残りける