
猿夢 【Intro】 誰もいない駅 響く足音 止まった時計 揺れる灯り 「次の電車が まいります」 なのにホームには 僕ひとり 窓の向こう 暗闇だけ 遠くで誰かが 笑ってる 振り返れば 誰もいない なのに声だけ 近づいてくる 【Verse 1】 乗り込んだ車両 灯りはひとつ 座席の影が 揺れている 扉が閉じる 音がして 行き先表示が 消えていく 「次はどこ?」 問いかけても 車掌は何も 答えない ただ薄暗い 車内放送 同じ言葉を 繰り返す 夢なら覚めて そう願うほど 景色は鮮明になっていく 眠ったはずの この世界で 僕は僕を 探してる 【Pre-Chorus】 トンネル トンネル 黒い闇の中 窓に映った 僕の顔 笑ってないのに 笑ってる 「降りたい」 声にした瞬間 電車は速く 走り出す 逃げる場所さえ 消えていく 終点なんて 存在しない 【Chorus】 猿の影が 揺れている 誰もいない 隣の席 赤い目だけ こちらを見て 何も言わずに 笑ってる 夢の中 夢の中 何度目覚めても 夢の中 扉を開けても また車内 走っても 走っても 同じ夜へ戻される 「次はあなたの番です」 その声だけが ずっと耳から 離れない 【Verse 2】 車内灯が ひとつ消える またひとつ 闇に沈む 数えるたびに 近づいて 知らない影が 増えていく 窓の外には 街がある だけど全部 眠っている 月も星も 雲の向こう この世界には 朝がない 誰かの声が 聞こえた 「ここから先は 戻れない」 そんなはずない そう思っても 足元だけが 震えてる 座席の下で 何かが動く 見ないふりして 目を閉じる けれど瞼の 裏側にも あの影が 立っている 【Pre-Chorus 2】 カタン カタン 線路を刻む 時計の針は 逆回り 昨日へ 今日へ 明日へ 全部同じ 夜になる 「起きて」 誰かが囁いた 僕の声で 囁いた 目を開ければ そこにはまた 同じ電車が 待っている 【Chorus】 猿の影が 揺れている 僕の記憶を 覗き込む 笑った顔も 泣いた夜も 全部知ってる みたいに 夢の中 夢の中 出口なんて 最初からない 扉を開ければ 暗闇で 暗闇の中 また扉 「次はあなたの番です」 誰が言ったの? 僕しかいない はずなのに 【Bridge】 もしもこれが 夢なら どうして怖さだけ 本物なの? もしもこれが 夢なら どうして僕を 覚えてるの? 名前を呼ぶな 振り返るな 目を合わせるな そう思うほど 背後から 足音がする ひとつ ふたつ みっつ 近づいてくる でも―― その足音は 僕の歩幅と まったく同じだった 【Final Chorus】 猿の影が 笑っている 窓の中の 僕も笑う いつの間にか 隣の席に 僕と同じ顔がいる 夢の中 夢の中 何度叫んでも 声はない 逃げるほど 深くなる 眠るほど 近くなる 終点なんて 存在しない 朝なんて 来るはずもない 「次は――」 車内放送が 途切れる 静寂のあと 僕の耳元で 「次は、あなたです」 【Outro】 誰もいない駅 響く足音 止まった時計 動き出す ホームに立つ ひとりの影 それは僕なのか それとも―― 電車の窓に 新しい顔が ひとつ増えた そしてまた 扉が閉じる カタン…… カタン…… カタン…… 夢は まだ 終わらない。

