
君が歩けば 少し遅れて 俺の中でも 何かが動く 名前をつければ 途端につまらない だから今夜も 知らないふりをする グラスのふちを 指でなぞって 君は何でもない顔をしてる こちらの歩幅を 測るみたいに 半歩だけ 距離を削ってくる 近いな と思った頃には もう遅くて 香りひとつで 予定が狂う 腰のあたりも 胸の奥も どうにも今日は 落ち着かない 右へ逃げても 左へ寄っても 結局どこにも 収まりきらない 君が笑えば また揺れる 顔には出さず 腰だけずらす ぶらんぶらん、ゆれて 君の隣で ぶらんぶらん、ゆれて 君が笑うたび 重心がずれる 胸から腰まで ひとつながりで 右へ 左へ 勝手に迷って 最後はそっと 真ん中へ戻す 顔はそのまま 腰だけ直す ぶらんぶらん、ゆれて 夜の歩道で 肩がふれそうで ふれないぶんだけ 余計に困る 君の速度が 少し落ちれば こちらも黙って 速度を落とす それくらいなら 余裕なんだけど ふいに覗き込む その角度 胸の奥まで 引っ張られて ついでに下も 少し落ち着かない ポケットへ 片手を逃がして 姿勢をひとつ 作り直す そんな小さな 攻防なんて 君にはたぶん 見せないままで 近づきすぎれば 少し困るし 離れられたら それも困る 君の歩幅に 合わせるたび こっちの軸だけ 忙しくなる ぶらんぶらん、ゆれて 君の歩幅に ぶらんぶらん、ゆれて 君が笑うたび 軸だけずれる 顔はそのまま 腰だけ直す 右へ 左へ 好きに遊んで 頃合いを見て 真ん中へ戻す 何食わぬ顔で 君を見る ぶらんぶらん、ゆれて 近づきたい でも 近づきすぎると いろいろ困る 離れたい でも 離れる理由もない そんな夜だ 君を包むように 歩きながら 俺のほうが 振り回されている 胸の奥まで 腰のあたりまで 君が笑えば 同じように揺れる ぶらん ぶらん ゆれて 戻す ぶらんぶらん、ゆれて 君の隣で ぶらんぶらん、ゆれて 君が笑うたび 重心がずれる 歩幅も呼吸も 少しだけ狂う 右へ 左へ 夜に任せて 最後は静かに 真ん中へ戻す 君を見たまま 腰だけひとつ 何もなかったように 整える ぶらんぶらん、ゆれて 歩けば揺れる ぶらんぶらん、ゆれて 君でも揺れる 君が歩く 俺も歩く 少し揺れる また戻す 真ん中に戻した そのはずなのに 胸のほうだけ まだ君のほう

