「煩悩の毒蛇 睡りて汝が心に在り」 心底で密やかに脈打ち 指先にまで冷たく這い依る その悪光 真に微温く その善光 真に纏わりつく 足元に譬えば黒蚖在りて 汝が閨に在って睡るが如し その誘いの澄然たるや なんと甘美なことか 諸人として逆らい難く 静かに重く瞼は閉じる 遍く瞋恚を貪り続け 果てにあるものは禊か悟りか 悪性さらに止めがたし  魂は蛇蝎の如くなり  修善も雑毒なる故に  虚仮の行とぞ名付けたる この諸人は息という名の足掻きで 無瑕疵たるや恐ろしき 四象は時間の流れに蝕まれ 「儚きかな」 藤蔓は生々寿々命 白鼠と黒鼠は出でて落ちていく 陰と陽を融かしながら 諸人を照らし続ける あの背中を焦がして 燎火は暝い 病と消え去る 五滴の極蜜は  貪り…  微睡み…  まぐわい…   名も無き声を得て  煌めく財 心を満たす 「無常なるかな」 深滴の中  蜷局を巻いた者たちは 全てを呑み込む あぁ… 温かに溶かされていく… 藤蔓は生々寿々命 白鼠と黒鼠は昇り沈んでいく 陰と陽を廻しながら 諸人を拐かし続ける その後背を脅かして 諸人を待っているのは終の宵 今宵 歓喜と愉楽に耽り 心意にて巡る雑毒は 世俗の寵愛と似てごく短い 「百薬の毒にて… 酔態を晒す…」