湿ったビロードの闇を纏って 指先だけでなぞる あなたの輪郭 体温はとうに  この部屋の隅で 灰色の塵に 成り果てたはずなのに 剥がれ落ちた 理性の残骸 そこから溢れる 黒い罪を啜る 「愛している」なんて 陳腐な戯言 飲み干すたびに 肺が白く濁っていく ねえ、窓の外はもう  永遠に明けないわ 時計の針は 錆び付いたまま 私を もっと深くへ 引き摺り込んで 狂おしいほど 美しい鎖に抱かれ 崩れゆくまま 骨まで溶かして 出口なんて 最初から求めていない この絶望こそが 唯一の光 首筋に残る 冷たい接吻の痕 それは私を 繋ぎ止める呪い 溺れさせて 息の根を止めて この悪夢が 終わらぬように 鏡の中に 見知らぬ女が一人 ガラスの瞳で こちらを嘲笑う 虚無で満たされた 贅沢な孤独 あなたの名前さえ 今はもう思い出せない 赦しなんていらない 救いなんて汚らわしい ただ、このまま 美しく腐っていきたい 銀色のナイフで 静寂を切り裂いて 最後の一滴まで 私を使い果たして 狂おしいほど 美しい鎖に抱かれ 崩れゆくまま 骨まで溶かして 救いがないことが こんなに心地良い 地獄の底で ワルツを踊りましょう さよならさえも 届かない場所で 私たちは ひとつの塊になる 二度と覚めない 夢の淵へ 堕ちていくの  永遠に 「……ねえ、綺麗でしょう?」