
青い光が 静かに注ぐ 夜より静かな 回廊をゆく 頭の上では 銀色の群れが 音も立てずに 空を渡った 水の中なら 翼はいらない 泳いでなら どこへでも行ける そんなふうに見えて 足を止めた ガラスの向こうの 知らない世界 煌めくクラゲ 夜空に瞬くように 夢の抜け殻みたいに浮かぶ 行き先なんて 決めなくていいと 揺れる姿が 少し羨ましくて けれど魚は 青の端まで行って 何もない場所で 静かに曲がる さっき見た影が また戻ってきて きれいな円を 何度も描いた ここは水槽の空 飛べるのに 遠くへは行けない どこへでも行けそうな光で 同じ季節を巡っている 私たちも似ているね 自由だなんて言われながら 透明な壁も見つけられずに 今日の続きへ歩いている 何にだってなれると言う声が 未来を少し 狭くしていく 選ばせたい道を 並べられて 選べない道もあると 見せられてるよう 隣を歩く 誰かの笑顔も ガラスに淡く重なっている みんな平気なふりが上手で 孤独の形を 隠して歩く 魚群が一度 大きく揺らいで 見えない合図で またひとつになる はぐれた一匹に 目を奪われて なぜか自分を 見ている気がした 流れに乗れば 迷わずに済むし 同じ速さなら 置いていかれない それを自由と呼べるのならば クラゲのように 揺れていられるけれど ここは水槽の空 輝くほど 出口は見えない 青い光に守られながら 青い光に閉ざされてる 私たちも似ているね 明日があると信じながら まだ知らない場所を夢にして 同じ回廊を巡るばかりで Ah 光の底 Ah 影が泳ぐ 触れられそうで 触れられない 向こう側の 水槽の空 魚は海を 知らないのかな それとも遠い記憶があるのかな 私もまだ 外を知らない ここが檻だと 言い切れもしない ガラスの外に立っているから 自由だなんて 誰が決めたの 行き先のないこの足だって 止まることだけは 選べるのに 大きなエイが 頭上を過ぎて 夜の翼を ゆっくり広げる ほんの一瞬 影に包まれ 私は少し 呼吸を忘れた ここは水槽の空 飛べなくても 見上げてはいられる どこへでも行けなくとも まだ知らない夢は抱ける 私たちは似ているね 透明な壁を抱えながら それでも一度 群れを離れて 自分の速さで曲がってみる ここは水槽の空 出口なんて まだ分からない けれど憧れは 捨てられず 私達は 青い回廊を歩いていく この道をいつか抜ければ 何かが変わるのだろうか

