『デラシネの肖像』 〜とある学生のキャンパスライフ〜 [序文] はるか昔の話です。 当時、受験勉強は思っていた以上に心にダメージを与えました。 私の場合、「友達になる」という自然な流れが、「友達を作る」という作業に変わってしまった。 一時的にコミュニティそのものを恐れていた時期があって──この作品には、そんな過去も滲んでいます。 [本文] ​【Scene 1:葛藤】 ​今日も変わらない朝だった。 思いつくままに心の内を、全てぶち撒けて 叫びながら、その場を後にした。 「やっちまった…、もう遅いか…」 もう、あそこには戻れないな。 ​【Scene 2:自嘲】 ​あの日の空気も、誰かの声も 無理やり忘れようとしてる自分が、少しだけ滑稽だった。 それでも、悲しかった。 俄(にわか)になった仲間、キャンパスではよくある事 「気がついたら」とか、「いつの間にか」って関係にはなれないんだ。 ​【Scene 3:諦観】 ​ベンチにひとつ、置き去りの傘。 誰のものか、自分のものかもどうでもよくなってきてる。 友達の作り方、そんな事してる気がするんだ。 言葉の選び方、距離感、笑うタイミング… 全部「間違えないように」って考えてる時点で、もう始まらないのかもしれない。 ​【Chorus:絶望と問いかけ】 ​いつからだろう、目の前のヒト それだけで良かったはずなのに 余計なものがついてきて、どんどん関係が複雑化していく。 本音をしまって、共感を演じて、空気を読んで 誰のことも傷つけないようにして、なのに… 傷ついてるのは いつも自分だ! ​【Scene 5:箱庭】 ​今までとは規模の違う箱庭、学科という区割りと隔絶された履修内容。 自ら足を踏み入れたのに、何もわかってなかった。それはわかった。 広大な敷地とたくさんの学生、その中にいて たったひとりの友達、それすらいないんだ、ここには…。 ​【Scene 6:デラシネ】 ​“何者にもなれないまま” 気づけば根を張る場所を見失っていた。 風に流されて、誰の目にも映らずに静かに消えていく。 デラシネ──僕の肖像 ​【Chorus:絶望と問いかけ】 ​いつからだろう、目の前のヒト それだけで良かったはずなのに 余計なものがついてきて、どんどん関係が複雑化していく。 感情抑えて、笑顔を演じて、同意を選び 色眼鏡を掛けないようにして、なのに… デラシネ──僕はひとりだ──