借りた景色で 朝を描いて 誰かの昨日を 袖に縫いつけ 似たような顔で 笑ってみれば 少しだけ 自分に似ていた 名前を呼ばれ 輪郭になる 口を噤めば 余白が増える 正しい形を 探すたび 間違いばかり よく馴染む 拾ったものを 入れ替えながら 棚に並べて 知らない誰かの欠片まで 私になった 継いで 裂いて また継いで 借りた夢なら 借りたまま 誰かの真似で 始まったって 終わる頃には 誰のもの 綺麗じゃなくていい 歪んだままでいい 縫い目の数だけ ここまで来たんだろ それを全部 抱えて歩け ガラスの向こうの 立派な肖像 褒め言葉ばかり よく似合う 「いい子ですね」と 額縁の外 知らない誰かが 微笑んでる だけどガラスの内側では 背の丈を 気にしてたり 誰かが転んだ話で 笑ったり そんなもんだろ 人間なんて 神様みたいに 飾られるより ちょっとくらい 格好悪いほうが 息がしやすい 貼って 剥がして また貼って 拾った言葉を 噛み砕いて 正しさなんて 食べ残して 笑えるほうへ 転がっていけばいい 綺麗な答えより 変な余白がいい 誰にも読めない 一行を残そう それがきっと 私の字だ 模倣 模造 妄想 暴走 正解 正体 境界 迷走 借景 景色 軽視 軽率 欠片 かけら たがえて 誰かが落とした 名前を拾って 誰かが捨てた 夢を縫いつけ そうして出来た この妙な生き物を 「偽物」と呼ぶなら それでもいい ――じゃあ本物って、誰が決める? 継いで 裂いて また継いで 借りた昨日を 明日に持ってけ 誰かの言葉も 誰かの癖も 笑った夜も 言えなかったことも 全部 全部 継ぎ接いだままで 女神じゃなくていい 聖人じゃなくていい 綺麗なままじゃなくていい 普通の人間のままで まだ作ればいい 名前はまだ 決めなくていい 正体なんて あとでいい ほどけた糸を 拾いながら またひとつ 変なものを作ろう 昨日の誰かと 明日の誰かを 少しずつ 間違えながら ――それでも 私の形になっていく。