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『最後の転生』

V5.5

[Opening — Phoenix] 夜の空で 翼が燃えた 羽根の先から 火が走り 赤い身体を 炎が包む 何度目だろう 数えることは とうにやめていた 燃え尽きれば また戻る それがずっと 世界の決まりだった [Burn] 翼が崩れる 声が消える 最後の火が 灰へ落ちる 暗くなる [Refrain] また戻る そう思っていた [Awakening] 目を開けた 知らない天井 誰かの腕の中 声を出そうとして 泣き声が出た 翼を動かそうとして 何もない 目の前にあるのは 小さな手 五本の指 誰かが 知らない名前を呼んだ [Scene 1] 七つのころ 膝を切った 血が出た 次の朝 傷はまだ そこにあった 指で触る 昼まで待った 夜まで待った 三日経っても 跡が残った [Refrain] また戻る そう思っていた [Scene 2] 十五の冬 祖父が使っていた椅子が 部屋からなくなった 「もう帰ってこないよ」 そう言われても 意味が よく分からなかった 一週間 玄関の音がするたび 顔を上げた 一か月 椅子のあった場所だけ 少し広かった [Refrain] また戻る そう思っていた [Scene 3] 二十八の夜 台所のコップを ひとつ割った 欠片を集めて 袋へ入れた 昔なら 壊れることと 終わることは 同じ意味じゃなかった 袋の口を結ぶ もう 待たなかった [Scene 4] 四十三 鏡の横で 白い髪を見つけた 抜いても 次の年には もっと増えた 五十六 昔の写真を 引き出しから出す そこにいる自分は もう どこにもいない [Break] 春が来る 夏が来る 秋が来る 冬が来る また春が来る 名前だけは 同じだった 同じ春は 一度も 戻らなかった [Final Scene] 年老いた夜 庭で 小さな火を燃やす 枝が黒くなる 形をなくす 火が小さくなる やがて消える 灰だけが残る 昔なら ここからだった [Silence] 灰を見る 一秒 二秒 三秒 [Outro] 何も起きない 手を見る 皺の間に 古い傷がある 灰には触れない 椅子から立つ 戸を閉める 部屋の灯りが消える [Final] 庭には 灰だけが 残っている