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Flying Saucer - HORINOUCHI

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V5.5

​[Verse 1] ​室温28度。エアコンが効かない。 弱ったこいつを殴っても冷気は出ない。終わってるな。 喉が不快だ。下の自販機まで下りる。 真夜中の生ぬるい空気。肌にまとわりついて気持ち悪い。 自販機の前でポケットを探る。スマホ? 部屋に転がしてきたわ。 財布はある。小銭をだす。 指が滑って、チャリンと金属音。 コインは暗闇に消え、パネルには「つり銭切れ」の点灯。 は? 嘘だろ。あと十円でシュワシュワが手に入ったのに。 硬いアスファルトに這いつくばって、自販機の隙間を目で追う。 ……なんだこの滑稽な状況。くだらねえ。 その瞬間、影が消えた。 ​[Chorus 1] ​目眩がするほどの光輪。噂のフライングソーサーってやつ? 何ひとつ劇的じゃない、ただの不運なアクシデント。 はいはい、拐うならさっさと上まで引っ張り上げろよ。 ​[Verse 2] ​気がついたら、全面真っ白な金属の箱の中。 冷やしすぎだろ。イオンの精肉コーナーかよ、凍えて死ぬだろ。 妙にぬめっとした宇宙人が出てきて、流暢な日本語を吐き出す。 「種族の標準値を測定するため、検体を確保した」 ……標準値? 検体? 勝手に平均のサンプル扱いすんなよ、失礼すぎるだろ。 綿棒みたいな細い棒で、口の裏側をサッとなぞって終わり。 「協力に感謝する。元の位置へ送還しよう」 ……は? 待て待て。それだけで帰す気か? ​[Chorus 2] ​都合よく人間引っ張り出しておいて、手ぶらで放流とか舐めてんだろ。 地球を調べたい? 生物の生態を知りたい? なら形から入るんじゃなくて文化を学べよ。俺の言葉に従え。 今から俺が快適な遊覧ルートを指定してやる。 ​[Verse 3] ​とりあえず喉がカラカラなんだよ、ドイツの醸造所まで飛ばせ。 次はペルーの山奥な。地上絵の上で優雅に高みの見物といこう。 燃料が減る? 大気圏の摩擦がどうたら? 知るかよ。 お前らが余計な手間を押し込んできたからだろ。 世界中あちこち引き回して、そのポンコツな機体を疲弊させてやる。 あーあ、俺はただキンキンに冷えた炭酸水が飲みたかっただけなのに。 まあいいや、この寒すぎる U F O の中で、地球の有名なガラクタ巡りに付き合えよ。 ​[Chorus 3] ​高尚な目的? あるわけないだろ、ただの意地汚い腹いせだよ。 歴史的価値も世界遺産も、空から見下ろせばただの不燃ごみの山だ。 おい宇宙人、次どこ向かう? 操縦盤の横に座らせろ、指示出してやるから。 ​静かで退屈な真夜中に戻れるなら、 自販機の炭酸水一本で手を打ってやったのにさ。 [outro] ​……ハぁ、静かな部屋で、さっさと寝させろよ。