潮騒が寄せては返しているの 太陽は海原を照らし、月が夜毎に引力を注いでいる 雲は雨粒を孕んでは空から海へと還しているの そう、人間も海の調べにただ揺蕩っているだけ 年若く傲慢な者ほど、血潮(ちしお)は嵐のように騒ぐ 愚かしい者ほど欲望に溺れては渇いているの 奪っては与えたり、また壊しては創って(つくって)いる 月と海は悠久の契り(ちぎり)を交わしている 波頭(なみがしら)が砕け散っては、また生まれているの そう、人間も海の底をまだ何も知らない 年老いて謙虚な者ほど、ただ波音(なみおと)に耳を澄ましているの 結局賢い者でも、胸の海は凪(な)いでは時化(しけ)ているの 笑っては泣いたり、また忘れては探したり あなたの瞳が静かに涙を湛(たた)えている それは? 懐かしくて? 悲しくて? なんて愛おしくて、なんて哀れなの