
遺物 05:《午前二時の暗黒星雲》(アマチュア無線の磁気テープ)【Part 04】暗黒星雲の座標
[Voice: Gentle, melancholic, steady breath] モールスの符号を書き起こしていくと、現れたのは数字とアルファベットの羅列でした。 最初、それは彼が若い頃に発見に携わった、ある暗黒星雲の天体カタログ番号だと思われました。 しかし、数字の並びを天球図と照合した千代さんが、ハッと息を呑んだのです。 それは星の座標ではありませんでした。 五十年前、二人が初めて出会った小さな海辺の天文台の経度と緯度。 そして、二人が結婚した日の日付だったのです。 彼は宇宙の星ではなく、かつて失った地上の一点を指し示していました。

