
朝露が 浅見川の瀬をすべる 冷たい小石を ひとつ蹴とばして 踏切のベルが 山あいに跳ね 白い息を吸う 始発のホーム レールの上を なぞる風 橙色の 実が揺れた 遠い汽笛が 合図を告げて 胸の車軸が 回りだす 青いレンズを くるりとまわせば みかんの丘へと 汽笛がわたる 山をくぐりて 浜へと抜ける 銀のレールが 青空を駆ける ガラスの羽を ひろげたトンボ 波打ち際の 陽だまりをすくう 鉄橋を渡る 車輪のひびきが 潮の匂いに 重なってゆく 赤いレンズで 海辺を見つめれば 水面のしぶきが 琥珀に燃える 潮風切って 走りつづける 鉄の車体が 歌声を運ぶ あの人が見ていた 遠い山並み 僕らが踏みしめる この土の鼓動 言葉は季節を 越えながら あたらしい朝の 風になる 清らかなレンズに 映して 広野の丘から 明日へ届け 次の駅を越え 果てない海へ 歌いつぐ声が 水平線を包む ラ・ラ・ラ みかんの風が 通りぬけてく

