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信じる人と、信じない人

「夜の屋上、気持ちいいね」 イエスィは空を見上げて言う 「また空か」 ノウィはフェンスにもたれた。 「この世界には、人間以外の知的生命体がいるよ」 「証拠は?」 「証拠がないから、いるって思うんだ」 「それは理屈じゃない」 「でもさ、雲の形とか、偶然の一致とか」 「すべては誰かの観測の中にあるって考えたら、面白くない?」 ノウィは首を振る。 「世界は偶然でできてる」 「意味を与えすぎると、自由が失われる」 「私は、意味がない方が怖いな」 「俺は、操られてる気がして嫌だ」 「見てるだけかもしれないよ」 「手出しはしない、ただの観測」 「動物園のサルみたいなものか」 「でもサルは、サルなりに生きてるでしょ」 「……まあな」 その時、二人のスマホが同時に震えた。 「え?」 「同時?」 二人は画面を見下ろす。 「周辺エリアで一時的な通信異常?」 「私、何もしてないよ」 「俺もだ。キャリアからの通知だな」 数秒後、画面が更新される。 「生活への影響はありません、だってさ」 「都合よくできてるね」 「偶然だろ」 「でも、同じ場所、同じ時間、同じ通知」 ノウィは黙り込む。 「……冗談みたいだな」 イエスィは空を見上げて笑う。 「もし誰かが見ていてもさ」 「明日は来るし、ご飯も食べる」 「世界は、変わらないって?」 「うん。だから、信じられる」 ノウィはしばらく考え、空を見た。 「俺はまだ信じない」 「それでいいよ」 「でも……」 「いるかもしれない、くらいは残しておく」 二人は言葉を止め、 ただ、夜の空を見上げていた。