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リハーサル

あれから、あなたに会っていない それでも時々、あの日の声が返ってくる 雪がまだ溶けきらない春 二畳の部屋に息がこもる 窓を細く開けて 冬の匂いを ひと口 一語一句 夢の隅まで追ってくる 自分で書いたはずの言葉が 夜を越えるたび 誰のものか わからなくなる 「これからも、鳴らし続けます」 ――覚えた抑揚で、覚えた間で 軋む古い床 白く重く落ちる光 暗がりの奥の 顔のない人たち 頷いてくれる 誰かを 巡ってきた春 少し暖かくて 誰もいない教室 桜色の髪 「本番に近いほうがいい、もう少し遠くへ」 そう言ったら 「ひどくない?」って 隣で 半分だけ 怒った顔 笑ったところ 頷いたところ 口を挟んだところ 全部 覚えている 「誰かを分かり合うには、まず、自分に正直でいること」 ――覚えた抑揚で、覚えた間で ……あの時は、嘘じゃなかった気がする 軋む古い床 白く重く落ちる光 暗がりの中に あなた一人 ずっと 見ていた 同じ頷き 同じおどけた顔 同じ温かさ あの春を まるごと しまっておきたかった あれから、あなたに会っていない 笑ったところ 頷いたところ 口を挟んだところ 「誰かを分かり合うには――」 あの続きへ 僕らは 辿り着けなかった 元気でいますか どこにいても どうか