
誰もいない駅 誰もいないホーム 聞こえるはずのない 足音だけが響いてる カタン…… カタン…… 線路の向こう 白い霧が揺れている そこに誰かがいる 顔は見えない なのに―― 僕を見ていることだけは分かる。 「電車がまいります」 その声は 僕の声だった。 --- 【Verse 1】 扉が開く 暗闇へ続く車内 座席には誰もいない なのに ひとつだけ 誰かが座っていた跡がある 窓ガラスに映る景色 知らない街 知らない空 知らない月 そして窓の中の僕だけが こちらを見ていない 僕が右を向けば 窓の中の僕は左を向く 僕が目を閉じれば 窓の中の僕は―― 笑った。 --- 【Pre-Chorus】 降りなくちゃ 降りなくちゃ そう思うほど 扉は遠くなる 走っても 走っても 車両の数だけ 増えていく 一両 二両 三両…… 終わらない 振り返ると さっきまで誰もいなかった席に ひとつ ひとつ 影が座っている 誰も 顔を上げない でも全員が 僕の名前を知っている。 --- 【Chorus — 壮大・幻想的】 月が砕け 夜空に降り 無数の星が 線路になる 深い夢の海を越えて 銀色の列車は 闇を裂く ああ―― 逃げても 逃げても 夢は僕を離さない 黒い翼のような雲が 世界をすべて 包み込む 遠い彼方で 鐘が鳴る 誰かが僕を 呼んでいる 「おいで」 その声に導かれて 僕はまた 扉を開く そこには―― 果てのない もうひとつの夜が 広がっていた。 --- 【Verse 2】 景色が変わる 駅ではない 街でもない 空に浮かぶ線路 海の上を走る列車 窓の外には 巨大な月 その表面に 無数の人影が立っている 全員がこちらを見ている 口は動いていない なのに―― 「帰れない」 そう聞こえる。 車内放送が鳴る 『次は終点です』 ほっとした瞬間 別の声が重なる。 『終点は存在しません』 --- 【Pre-Chorus 2】 扉を開ける そこには駅がある 見覚えのある駅 だけど 駅名だけが違っている そこに書かれていたのは 僕の名前。 そしてその下に 「最終乗車」 という文字。 時計を見る 針は動いていない なのに 時間だけが進んでいる。 遠くから 笑い声。 ひとつ。 ふたつ。 みっつ。 だんだん増えて 車両全体を満たしていく。 --- 【Chorus 2 — より壮大に】 星の河が 夜を満たし 月明かりが 夢を染める 銀の車輪 黒い空へ 永遠という名の線路を走る ああ―― 目覚めを求めるほど 深く沈んでいく 夜空に浮かぶ巨大な影 その瞳だけが 赤く輝く 幾千もの夢を越えて 幾億もの夜を越えて 辿り着いたその場所で 僕を待っていたものは 逃げ道ではなく 僕自身だった。 --- 【Bridge — 恐怖を最大化】 「誰?」 答えはない。 「ここはどこ?」 答えはない。 「どうすれば帰れる?」 すると―― 車内の全員が ゆっくり顔を上げた。 一斉に。 誰も喋らない。 ただ僕を見ている。 そして 車内放送が鳴る。 『お客様にお知らせします』 ノイズ。 『この列車は――』 ノイズ。 『あなたが目覚めるまで 決して停車いたしません』 ……違う。 それは放送じゃない。 僕の頭の中から 聞こえている。 耳を塞ぐ。 それでも聞こえる。 目を閉じる。 それでも見える。 夢から逃げようとする。 なのに―― 夢のほうが 僕を追いかけてくる。 --- 【Breakdown】 カタン…… カタン…… カタン…… 「次は――」 カタン…… 「次は――」 カタン…… 「次は――」 突然 すべての音が消える。 完全な静寂。 そして耳元で 小さな声。 「もう、起きたと思った?」 --- 【Final Chorus — 最大スケール】 夜空が裂けて 巨大な月が 僕を照らす 星々はすべて 遠い記憶のように 燃えている 銀河を渡る 黒い列車 夢と現実の境界を越えて ああ―― 僕は何度でも 同じ夜へ落ちていく 天使のような光さえ この闇では 道標にならない 無限に続く線路の先 巨大な扉が 開いていく その向こうには 何もないはずだった なのに―― そこに立っていたのは 眠っている僕。 僕を見つめる僕。 そして その後ろには 数え切れないほどの 「僕」が並んでいる。 「やっと来たね」 月が消える。 星が消える。 世界が消える。 残ったのは 僕と あの声だけ。 「次は――」 --- 【Outro — 静かに】 目を開ける。 見慣れた天井。 朝の光。 夢だった。 そう思った。 けれど 枕元に 一枚の切符が落ちている。 行き先―― 空白。 発車時刻―― 空白。 ただ裏側に 小さく文字が書かれている。 「次回もご乗車ください」 遠くで 電車の音。 カタン…… カタン…… カタン…… そして最後に 誰もいない部屋で 僕の声が囁く。 「……まだ夢の中だよ」

