Song Cover Image

残響標本

夏がほどけて 風だけ置き去りだ 君が笑った歩道に 影が伸びていく ポケットの奥で鳴らない約束は 錆びた鍵みたいに まだ熱を持っていた 街灯は何も知らない顔で 僕らの季節を照らし続ける 忘れることだけが優しさなら どうして胸はまだ君を選ぶ 昨日を閉じる扉がなくて 何度も同じ空を見上げた さよならは風になって 名前を消して空へ昇る 追いかけるほど遠ざかるのに 心だけ君を覚えている 砕けた夢の破片さえ 朝日に溶けて輝くなら 涙の跡も 痛みの意味も いつか僕を明日に変える 交差点を渡る人波の中 君じゃない誰かが君に見えた 振り向くたびに増えていく幻を 笑い飛ばせたら楽なのに 季節は黙ってページをめくる 僕だけ少し読み終われない それでも世界は止まらないから 足音だけを信じて歩く 失うことでしか 見えない色があるなら この痛みもきっと 未来のどこかで花になる さよならは終わりじゃない 胸の奥で息を変える 君がくれた光の欠片は 今も僕を照らしている もう戻れない道の先で 新しい風が袖を引いた ありがとうさえ言えなくても 僕は僕の明日へ行く 夏の残響を抱いたまま 静かに朝が始まる