
砂嵐の走査線 暗室の低周波 巻き戻しの軋み 青白い画面 積み重なるVHS 擦れた録画時刻 古いブラウン管だけ 暗室で瞬いてる ラベルの文字は 半分ほど消えて 誰の記録なのか もう読めなくなった ノイズ混じりの笑顔 巻き戻る残像群 停止しかけた映像へ 古い夏が貼り付いた 日時の欠けた映像 途切れた笑い声 色褪せた画面の中 少しだけ遅れて動く 磁気みたいな記憶だけ まだ消えずに残ってる 再生されるたび 別の色に壊れていく 忘れたと思った場面が 突然光を帯びる 記録された笑い声だけ テープの奥で滲んでる 一時停止の夏 巻き戻らない声 青白い残光が 指先に残ってる 画面が暗転する 信号が途切れる 最後のノイズだけ 夜の部屋へ溶けていく

