
金木犀が ふっと香って 坂道の途中 君が髪をかき上げた 風が止まって 時間も止まった 名前も知らないのに 心が動いた すれ違うたび 少しずつ言葉を交わす 君の声が 僕の中に根を張る 触れたくて でも触れられなくて 金木犀の香りが 君を思い出す 甘くて 少し切なくて 触れられない距離に 心が揺れる 10月が来るたび 君が近づいて 遠ざかる 君が見ていた空は どこへ続いてた? 僕は その隣にいたかった 言えなかった言葉が 喉に残って 君の笑顔だけが 僕を生かしてた 君が 楽しそうに笑ったあと ほんの一瞬 目をそらした その顔を見て 僕は全部わかった 「好きだよ」って 言う前に 金木犀が咲いた 君はいない 香りだけが 君を連れてくる あの日 伝えられなかった想いが 風に溶けて 消えてった 金木犀の香りが 君を思い出す 何度でも この季節に君を感じる 君の楽しそうな笑顔が 今も 僕の記憶に 焼き付いている [End]

