雨の音だけ聞いていた 窓に流れるしずくを見てた 何もしたくない午後だった 時計の針だけ進んでいた 遠くで車が水をはねて 誰かの傘が角を曲がった 僕だけここに残されたようで 少しだけ目を閉じた いつからだろう 明日を考えるたび できない理由ばかり 上手にならべていた だけど 雨がやんだ その瞬間 静かだった街の向こうから 名前も知らない鳥の声がした 雨のあと 世界は歌う ぬれた道が空を映す 灰色だった雲のすき間 ひとすじの光がこぼれた 何も変わってないはずなのに 僕には少し違って見えた 終わったんじゃなかったんだ ただ雨が降っていただけ 水たまりをよけながら 子どもが笑って走っていく 閉まっていた店のドアが開き いつもの音が戻ってくる 風に揺れてる木の葉から 小さなしずくが落ちてきた 肩にふれて冷たくて なぜだか僕は笑っていた きれいな日だけが 大切なんじゃない 雨を知った空だから こんなにも光がまぶしい 雨のあと 世界は歌う 昨日までの僕を連れて 新しくならなくてもいい このまま歩いていけばいい 傷ついたことも 迷った時間も 消さなくていいと思えた それも全部 僕がここまで来た 足あとだから もしまた雨が降るなら 今度は少しだけ覚えていよう 雲の向こうには 何も消えていないこと 見えないだけで 光はそこにいること 雨のあと 世界は歌う 街も 風も 僕の心も 聞こえなかった小さな音が ひとつずつ戻ってくる 大きな夢じゃなくていい 今日を好きになれたらいい ぬれた道のその先へ 僕はゆっくり歩き出す 振り返れば 水たまりの中 さっきまで隠れていた空が 誰より青く笑っていた


