
[Intro: Calm Wind, Distant Mukkuri vibration, Subtle Hand Drum heartbeat] [Verse 1: Monotone Spoken Word, No Singing] 「いいかい。まだ海を渡る大きな船も、鉄の斧もなかった頃の話だ。 その頃、この島は『エペクウィック』……波の上にふわりと浮かぶ、揺りかごのような場所だった。 そこに住んでいたミクマクの人たちはね、自分たちを『土の所有者』だなんて一度も思わなかったんだ。彼らにとって、この島は自分たちの命を預かっている、巨大な生き物そのものだったからね。」 [Verse 2: Monotone Spoken Word] 「朝、霧の中から太陽が昇ると、彼らはまず海に向かって感謝を捧げた。 『今日も命を繋ぐ魚を分けてくれてありがとう』と。 彼らは必要な分しか獲らなかった。欲張って未来の分まで奪えば、精霊たちが悲しんで、島の呼吸が止まってしまうことを知っていたからだ。 夏には海岸にテントを張り、潮風を吸い込んで暮らす。冬が近づき、森が赤く染まると、彼らは内陸の深い木立の中へと移動した。」 [Verse 3: Monotone Spoken Word] 「そこでは巨大な木々が、冷たい北風から彼らを守ってくれる。彼らは木を切る時も、必ず木に語りかけたんだよ。『君の命を、僕たちの冬の火として分けてくれないか』とね。 彼らの生活には、君たちが今持っているような『鍵』も『壁』もなかった。島全体がみんなの家で、森の動物も、空を飛ぶ鳥も、みんな同じ精霊を宿した兄弟だった。」 [Verse 4: Monotone Spoken Word] 「夜、焚き火を囲んで長老たちが歌を歌う。その歌声は、アイヌの人たちが吹くムックリの音のように、風に乗って森の隅々まで届いた。 そこには、争いも、誰かを騙して富を奪うという考えさえもなかった。ただ、季節が巡り、命が巡る。その静かな、あまりにも静かな幸福が、この赤い土の上には何千年も続いていたんだよ。 ……けれど、ある日のことだ。水平線の向こうから、見たこともないほど大きな白い翼を持った船が現れた。それが、すべての始まりだったんだ……。」 [Bridge: Deep Drum Pulse, Atmospheric Flute, No Vocals] [Verse 5: Calm Spoken Word, Reflective Tone] 「いいかい。君が今、観光客と一緒に歩いているその場所にも、かつては全く違う名前があったんだ。 私の国、北海道を見てごらん。そこには今も『神威岬(カムイエトゥ)』……神の鼻、あるいは『オンネトー』……年老いた大きな沼、といったアイヌの言葉が、大地に刻まれた爪痕のように残っている。それは、そこにどんな神様がいて、どんな命が宿っていたかを教える『記憶の鍵』なんだよ。」 [Verse 6: Calm Spoken Word] 「では、この島はどうだろう? 君たちが『キャベンディッシュ』や『シャーロットタウン』と呼ぶ場所。それらは後から来た人たちが、自分たちの王様や貴族の名前を勝手に貼り付けた『ラベル』に過ぎない。 彼らはね、元の名前を根こそぎ奪おうとしたんだ。言葉を奪えば、その土地の魂を支配できると考えたからだね。」 [Verse 7: Calm Spoken Word] 「例えば、君たちが『カベンディッシュ』と呼ぶ場所。あそこはミクマクの言葉で『カスクウェク』……『白い崖が続く場所』。島を北へ行けば『シトマク』……『砂丘が曲がっている場所』。 北海道のアイヌの人たちが、山や川のすべてを『カムイ』として敬ったように、ミクマクの人たちもまた、この島のあらゆる角に名前をつけ、敬意を払っていた。彼らは『開拓』なんてしなかった。ただ、精霊たちが整えてくれた庭に、そっとお邪魔していただけなんだ。」 [Verse 8: Slow, Heavy Spoken Word] 「……けれど、王様の名前を冠した船がやってきた時、彼らは測量機と地図を持って上陸した。『何もない未開の地だ』と嘘をつくためにね。 本当はそこには、精霊の名前で埋め尽くされた、豊かな豊かな物語があったというのに……。」 [Outro: Fade out Drum, Only Wind and Subtle Mukkuri Remains] [Final Message: Gentle Whisper] 「君の本当の名前は何だい?」 [End] [Stop]

