先が つめたくて いたむ 指 うすい つめたいの中に 金木犀 みえないけれど どこか みえないところで どこかで 咲きほこり たれながれる 甘い 甘い 香りが 匂いが 澄んでいくこの空に つめたくて いたんでいく この指さえ 満たしていく 甘い 甘い あのあれで みえるものが 救うとはかぎらない みえないものが ないとはかぎらない 傷つけるものは 傷つかないわけではない 傷ついたものが 脆いわけではない つめたいは つめたいだけでなく そこに潜むものが あれば あればいいのに 小さな花弁が 可憐で かわいいとはかぎらない 小さい花弁で ひき裂き 毒で満たすかもしれない 先が つめたくて つめたくて もう痛まない 感じなければ それはないと 同じだろう うすい つめたい爪を みがいた うすく 吸いこむ空気の中で 金木犀 気づかない 気づいたときには もう それは 粘膜を伝い この脳を 記憶を 駆けて 醒まし 揺らして 気づかせ あの木みたい 枝葉をめぐらせる この夜に 痛まないが 傷まないわけではない 傷んでも 痛いわけではない 甘い 甘い この甘いに 思いだすあれ まだ 気づけない 愚かさを欲しがる目 こんなところに来たくなかった こんなふうに気づきたくなかった 腐れ落ちる その直前の この甘い 落ちる 花 落ちる 甘い 終わり