
誠実とは 灯を持つことではなく 風の強さを知りながら なお消さぬこと 誰かの冬を温めようとして 自ら灰になるなら それは祈りであっても 生ではない 川は岸を削りながら流れる 与えるだけでは 海へ辿りつけないことを知っている だから木は 根を深く沈めるのだろう 見えないところで 自らを支えながら 私は 言葉よりも先に折れる約束や 光を装う影を どこか悲しく思う たぶん嫌いなのではない ただ 本当にまっすぐなものを知っているから 歪みの音に耳が止まるだけ 誠実とは 誰かに捧げ尽くすことではなく 誰かのために残しておくこと 自分自身を 最後の一滴まで差し出さず 泉であり続けること そして静かに 渇いた掌へ 水を運ぶこと。

