
試作ちゃん(@sisaku)とのコラボソングです! 試作ちゃんのオリジナル小説 「絶滅する前に、捕まえて」(文末に掲載しました✨) をベースにした曲です! 試作ちゃんの小説をもとに 詞の構成や作曲...一歩ずつ話し合いながら作りました この曲、かわいいJazz-Pop風の楽曲なんですが... 試作ちゃんをイメージして ...アクロバティックな変拍子+拍子転換曲にしました わたし的にはすごく攻めたつもり...いえ、地味なんですけどね かつてない位、構成に悩みましたし Studio2.0をぶんぶん回しましたが Sunoってこんなこともできるんだ...って色々発見がある曲になりました 試作ちゃんどうもありがとう。コラボ凄く楽しめました! --- 絶!滅!危惧種! 夏っ! 山っ! 青い空! きみとわたしで 二人きり 夏らしい事 しようと言った 返事も待たず きみの手を取る 狩るのはわたし 山ねこだから 捕獲は禁止! でも逃がさない 逃げるきみまで 追いかけるから 恋のひとこと きみから言って ほんとにきみは 絶滅危惧種 そっと髪を 掻き上げてみたり 川のほとりで 素足を見せて ぱしゃっと水を 跳ね上げるたび きみはあわてて 目をそらす わたしの仕草 目にするたびに きみはいっつも ドキドキしてる 獲物を狙う 山ねこなのに もうっ!きみって 絶滅危惧種 にゃっ! にゃっ! 木陰に揺れる 蝉の声 二人っきりの 山の上 はいっ、あーん...逃げちゃだめ! 心拍数が急上昇 わたし狩人 山ねこだから 知ってるよ きみの視線 笑って立てば 石につまずく わたしの手首 きみがつかむの すぐに離した きみのその指 狩るはずなのに 頬まで熱い ほんとにわたし 絶滅危惧種 絶!滅!危惧種! きみもわたしも 捕獲は禁止! でも抱きしめて 逃げるふりして 待っているから 恋のひとこと きみから言って! 大事にしてね いなくなるかも そう言ったけど 逃げたりしない ここにいるから きみが見つけて 絶!滅!危惧種! きみもわたしも 捕獲は禁止! でも抱きしめて 逃げるふりして 待っていたんだ 恋のひとこと 好きって言って! 捕獲は禁止! でも抱きしめて 恋のひとこと 好きって言って! 捕獲は禁止! でも、抱きとめるのは…… 保護だから にゃっ! にゃっ! ----- この曲の元になった試作ちゃんの小説です! 山ねこ 「絶滅する前に、捕まえて」 夏。 雄ねこは、好きな雌ねこと山へ遊びに来ていた。 二匹きり。 青い空。 蝉の声。 木陰には涼しい風。 雄ねこは朝からずっと思っていた。 ――これはデートなのか? 誘ったのは雌ねこだった。 「夏らしいことしよ?」 その一言で、 雄ねこは前日の夜、 服を七回着替えた。 ⸻ 山道を歩いていると、 雌ねこが振り返る。 「暑いね」 「う、うん」 髪をまとめる。 うなじが見える。 雄ねこは目をそらした。 ――見るな。 ――自然を見ろ。 ――木。 ――空。 ――山。 「どうしたの?」 「自然っていいなと思って」 「さっきから杉しか見てないよ?」 「杉が好きなんだ」 今日から好きになった。 ⸻ しばらく歩くと、 川が見えてきた。 透明な水。 雌ねこの目が輝く。 「入ろ!」 雄ねこも少し期待する。 「水着持ってきた?」 「え?」 雌ねこは鞄を見る。 「あー……」 雄ねこの期待が膨らむ。 「山だから持ってきてないや」 期待が死んだ。 「そ、そっか」 「残念?」 「全然」 即答した。 雌ねこが笑う。 「ほんと?」 「川を見に来ただけだから」 「杉じゃなかったの?」 「川も好き」 趣味が増えていく。 ⸻ 雌ねこは川を見ながら考える。 そして、 何でもないことのように言った。 「下着でも、水着に見えるかな?」 雄ねこの時間が止まった。 蝉だけが鳴いている。 「…………え?」 「色、似てるし」 「いやいやいや!」 「ダメ?」 「ダメというか!」 雄ねこは必死に川を見る。 「風邪ひく!」 「心配そこ?」 「そこ!」 雌ねこは小さく笑った。 「じゃあ足だけにしよ」 靴を脱いで、 ぱしゃ。 冷たい水に足を入れる。 「気持ちいいよ」 雄ねこは胸を押さえた。 ――この猫。 ――たまに心臓を狙ってくる。 ⸻ 昼。 二匹は木陰でお弁当を広げた。 おにぎり。 卵焼き。 冷たい麦茶。 そして、 小さなスイカ。 雄ねこが聞く。 「二つに切る?」 「ううん」 雌ねこはスプーンを一本だけ出した。 「一緒に食べよ」 「……スプーン一本?」 「荷物減らしたかったから」 一口すくって食べる。 「甘い」 そして、 同じスプーンを雄ねこへ差し出した。 「はい」 雄ねこが固まる。 「……新しいの取ってくる?」 「一本しかないよ?」 「俺、箸で食べる」 「スイカを?」 「日本には箸文化がある」 雌ねこが吹き出した。 「気にしすぎ」 「何を!?」 「何でもない」 雌ねこはまた一口。 雄ねこも一口。 一つのスイカを、 交互に食べる。 雄ねこは味なんて、 途中から全然分からなかった。 「甘いね」 「うん」 「スイカ」 「あ、そっちね」 「他に何があるの!?」 雌ねこは答えず笑った。 ⸻ 夕方。 帰り道。 雄ねこは疲れ果てていた。 山登りではない。 心臓が。 雌ねこが聞く。 「今日、楽しかった?」 「楽しかった」 「ほんと?」 「うん」 少し間を置いて、 雄ねこが言った。 「でも……」 「でも?」 「今日の雌ねこ、なんか変だった」 雌ねこの足が止まる。 「変?」 「なんというか……」 言えない。 下着とか。 スイカとか。 距離が近かったとか。 「ずっとドキドキさせられてた」 言ってから、 雄ねこの顔が赤くなる。 雌ねこも黙った。 ⸻ 「……ごめん」 「え?」 雌ねこが俯く。 「ちょっとだけ、わざと」 雄ねこが固まる。 「……何が?」 「水着」 「え?」 「スイカ」 「え?」 「髪まとめたのも」 「杉見てた俺の努力返して!」 雌ねこが笑った。 でも、 その顔も赤かった。 「だって……」 声が小さくなる。 「全然気づいてくれないんだもん」 今度は雄ねこが黙る。 「何に?」 「……好きなの」 蝉の声だけが聞こえた。 ⸻ 雌ねこは恥ずかしそうに笑う。 「だから今日は、ちょっと頑張った」 「ちょっと?」 「……かなり」 「下着は!?」 「あれは言ってみただけ!」 「心臓止まるかと思った!」 「私も言ったあと止まりそうだった!」 二匹とも真っ赤になった。 ⸻ 雄ねこが小さく聞く。 「じゃあ……」 「うん」 「俺がずっとドキドキしてたの、計画通り?」 雌ねこは少し考えた。 「半分」 「残り半分は?」 「私もずっとドキドキしてた」 雄ねこは笑った。 「なんだよ、それ」 「仕方ないじゃん」 雌ねこは少しだけ近づく。 そして、 いたずらっぽく笑った。 「山猫は絶滅危惧種だからね」 「……?」 「ぼーっとしてたら、いなくなっちゃうよ?」 雄ねこの顔がまた赤くなる。 「それも計算?」 雌ねこは首を振った。 「これは……」 少しだけ目をそらす。 「今、頑張った」 ⸻ 雄ねこは笑った。 そして、 そっと手を差し出した。 「じゃあ、捕まえていい?」 雌ねこはその手を見る。 「捕獲は禁止です」 「絶滅危惧種だもんね」 「うん」 少し間を置いて、 その手を握った。 「でも、一緒に帰るのはいいよ」 二匹は手をつないで、 山道を歩き始めた。 雄ねこが聞く。 「来年も来る?」 「うん」 「今度は水着持ってきて」 雌ねこが笑う。 「そんなに見たいの?」 「違う!」 「じゃあ持ってこない」 「それも違う!」 山に、 雌ねこの笑い声が響いた。 雄ねこの心臓は、 最後まで忙しかった。 そして翌年。 雌ねこは本当に水着を持ってきた。 雄ねこは、 去年よりさらに杉に詳しくなった。 ――山ねこ・完。

