[Verse 1] 国道沿いの 色あせた看板 指で なぞれば 夏の地図が蘇る 親指立てて 旅してた あの日 潮風の匂い 遠くで 鳴いた 汽笛 [Verse 2] 増毛行きだと 黒板の文字 知らない駅名 心が妙に疼いた 終着駅まで 乗ってみようかと 君がいたから 旅の意味さえ変わった [Chorus] モノトーンの世界、降りしきる粉雪 色を奪われたホームに ひとり立つ あの夏の影を 踏まないように 白く閉じこめた 言えなかった"さよなら" [Verse 3] 笑い皺ひとつ 見逃さぬように 窓ガラス越しに 横顔ばかり追いかけた 「終点ですね」と 君がつぶやく まだ終わらないよと 言いかけて飲み込んだ [Chorus] モノトーンの世界、降りしきる粉雪 行き止まりだった線路に雪が積もる 始まりだったね 本当はあの日 終着駅なんて 言葉だけの決めごと [Verse 4] 新聞の隅に 小さな見出し 「来春、留萌線 役目を終える」とある 急に呼び出された 古い記憶たち 胸のポケットが ざわついて冬になる [Bridge] 暗くなる前に たどり着きたくて 車窓に滲む 街の灯りが 揺れる 向かいの席の 若い二人が 昔の僕らに 少しだけ似ていた (ああ) [Verse 5] 増毛駅前は 店も減っていた 閉まったシャッターに 剥がれかけた観光地図 ホームの端に 立ち尽くす影 肩まで伸びた 髪の揺れ方が同じで [Verse 6] 「君だ」と思って 息を止めたまま 名前を呼べば ゆっくり振り返る誰か 目元のかたちも 笑い方さえも 違う人なのに 鼓動だけが走り出す [Chorus] モノトーンの世界、降りしきる粉雪 知らないひとから「寒いですね」と笑う 返した言葉が 白くぼやけて 君のいない冬を ようやく受け入れてく [Verse 7] あのときここで 君と見送った 一本きりの列車 今は来ないホームで 木造の屋根に 染み込んだ声が 耳の奥でまだ くすぶって手招きする [Bridge] 帰りたい場所は いつも遅れてわかる 帰れないことも たどり着いて気づく 雪を踏むたびに 過去がきしんで 僕はようやく 今を選び直す [Chorus] モノトーンの世界、降りしきる粉雪 次のバスまでの時刻を指でたどる 線路の向こうで 海が黙って のこした足跡を ひとつずつ飲み込む [Outro] 君じゃない人に 頭をさげて 「良い旅を」とだけ 小さくつぶやいた 発車の合図も もう鳴らない駅で 心だけ遠くへ まだヒッチハイクしている


