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Overtake【新・異世界で始める二人旅03】

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V5.5

[Intro] [Verse] 知らない空 知らない街 変わり果てた 景色の中 昨日までの 常識さえ 風に溶けて 消えていく [Pre-Chorus] 答えなんて まだいらない 今はただ 信じたい [Chorus] Overtake Break the Fate 越えていけ この先へ 何度でも 立ち上がる 僕は まだ終わらない Overtake Don't Give Up 前だけを 見つめて この世界を 生きていく 今始まる [Drop] Unique Skill Overtake Synchronize No Magic No Limits Break the Fate Go Ahead Overtake Whoa Oh Oh Whoa Oh Oh Stand Up Whoa Oh Oh Whoa Oh Oh [Verse 2] 手探りでも 進めばいい 恐れながら 歩けばいい その剣を 握るたび 強さの意味が 変わっていく [Pre-Chorus] この力 まだ誰にも 分からない でも 歩き出せる [Chorus] Overtake Break the Fate 今日よりも 強くなる 負けられない 理由なら この胸に もうあるから Overtake Stand Again ここからが スタートだ 僕は僕を 越えていく Believe in Myself [Bridge] 魔法なんて なくてもいい 誰かみたいに なれなくても 僕にしかない この一歩で 未来を 切り開く 弱くていい まだ知らなくていい それでも 歩き出せるから [Breakdown] Can you hear me? ……この声が 届くなら [Final Chorus] Overtake Break the Fate 越えていけ その壁を ゼロからでも かまわない 明日は つかみ取る Overtake Never Stop 僕の力で この世界を 生きていく 今始まる New Story [Drop] Unique Skill Overtake Synchronize No Magic No Limits Break the Fate Go Ahead Overtake Whoa Oh Oh Whoa Oh Oh Stand Up—— Whoa Oh Oh Rise Up——!! Never Stop——!! Break the Fate——!! Overtake——!! [Outro] 【Episode Story】 【第3話・Overtake】 主人公は旅の巫女から受け取った地図を見ながら街を歩いていた。 「旅人ギルド……。」 顔を上げる。目の前には二階建ての大きな建物。入口には剣と盾を描いた木製の看板が掲げられている。主人公は小さく息を吸った。 「ここなら仕事を紹介してもらえるんだよね。…よし!」 ゆっくりと扉を押した。 ガチャ──。 店内には大勢の人がいた。鎧姿の男。大きな斧を背負った女性。ローブをまとった老人。剣を腰に差した若者。酒を飲みながら笑い合う冒険者たち。依頼書が貼られた掲示板。主人公は思わず立ち止まる。 「……すごい。まるで映画のセットみたいだ。」 いや、違う。匂いも。空気も。人々の息遣いも。全部が本物だった。 「やっぱり……。」 主人公は小さく苦笑いする。 「夢じゃないんだな。」 受付には若い女性が座っていた。主人公が近付くと、笑顔で迎える。 「いらっしゃいませ。旅人ギルドへようこそ。」 主人公は軽く頭を下げた。 「あの……。ここに来れば仕事を紹介してもらえると聞いたのですが…。」 受付は微笑む。 「もちろんです。仕事を紹介するにはこちらでギルドへの登録が必要です。初めてのご登録でよろしいですね。」 「はい。」 「ではこちらへどうぞ。」 主人公は椅子へ案内される。受付は一枚の用紙を差し出した。 「まずはこちらへお名前をご記入ください。」 主人公は紙を受け取る。そして固まった。 「……え?」 紙には見たこともない文字が並んでいた。丸や線が組み合わさった、不思議な文字。 「これ……。外国語?」 もう一度見る。その瞬間だった。不思議なことに。文字の意味が自然と頭へ入ってくる。 『旅人登録申請書』 『氏名』 『出身』 『年齢』 主人公は目を見開いた。 「読める……。なんで?」 受付は首をかしげる。 「どうかなさいましたか?」 「あっ!」 主人公は慌てて笑顔を作る。 「い、いえ。少し変わった文字だなって。」 受付は笑う。 「地方によって字体が違いますからね。」 主人公は曖昧に笑う。 「そ、そうなんですね。」 心の中では大混乱だった。 (いやいや。違うだろ!?こんな文字、一度も見たことない。なのに普通に読めるし、しかも文字も書ける!?どういうことだ……!?) 主人公はペンを持つ。 (スマホは圏外。日本のお金も使えない。魔法があって、魔物もいる。そして知らない文字が分かる。) 主人公はゆっくり息を吐いた。 (もう、認めるしかないのかな。ここは……ぼくがいた世界じゃない。ゲームみたいな異世界……。) その考えが頭をよぎった。しかし、主人公はすぐ首を振る。 (いやいや、そんなことあるわけ……。……あるから困ってるんだけど。) 思わず苦笑いした。 受付は用紙を見る。 「ありがとうございます。失礼ですが、ご出身は……。」 主人公は一瞬考え込む。 (日本なんて言っても絶対伝わらない。異世界から来ましたなんてもっと無理!) 主人公は笑顔を作る。 「かなり遠い国から来ました。」 受付は納得したようにうなずく。 「なるほど。」 主人公は胸をなで下ろした。 (よかった。ごまかせた。) 受付は机の下から透明な水晶を取り出した。 「それでは、次は登録のため、魔力測定を行います。」 主人公は首をかしげる。 「魔力測定?」 「はい。ギルドの登録には必須となっています。こちらへ手を置いてください。」 主人公は恐る恐る手を乗せた。水晶が淡く光る。受付は結果を見る。そして、笑顔が消えた。 「……え?」 主人公は不安になる。 「あの……。何かありましたか?」 受付は水晶を見つめる。 「少々お待ちください。もう一度測定します。」 主人公はもう一度手を置く。再び光る。受付は息を呑んだ。 「……そんな!?」 主人公の胸がざわつく。 「え?」 受付はさらにもう一度測定した。結果は変わらない。受付は思わず立ち上がった。 「申し訳ありません。少々、お待ちください。」 その様子に、周囲の冒険者たちも気付き始める。 「どうした?」 「何かあったのか?」 受付は静かに告げた。 「魔力……ゼロです。」 ギルドの空気が一瞬で静まり返った。 「……ゼロ?」 「今、魔力ゼロって言ったか?」 「あんなこと、あり得るのか?」 ざわざわと周囲が騒ぎ始める。 主人公は戸惑った。 「あの……。そんなに珍しいことなんですか?」 受付の女性は信じられないという表情で主人公を見る。 「珍しい……というより、前例がありません!どんな人物でも魔力は少なからず宿っているものです。病気の方でも、幼い子どもでも必ず反応はあります。」 主人公は思わず聞き返した。 「つまり……。ぼくだけ?」 受付はゆっくりとうなずいた。 「はい…。完全にゼロという方は、私も初めて見ました…。」 主人公は苦笑いする。 「そうですか……。」 (まあ、ぼくはただの普通の社会人だし、そりゃあそうだよね…。) 受付は気持ちを切り替えた。 「ですが、魔力だけで本人の適性が決まるわけではありません!次はスキル判定を行います。」 主人公は少し安心するが、また聞き慣れない言葉が出てきた。 「スキル……?」 「はい。スキルは本人の魔力とは別に生まれ持った才能や能力のことです。戦闘系や生産系など、人それぞれ異なります。」 受付は銀色の板を取り出した。 「こちらへ手を乗せてください。」 主人公は言われるまま手を置く。板が淡く光る。受付は結果を見る。 「…………。」 沈黙。主人公は不安になる。 「あの……。また何か?」 受付は何度も板を見直した。 「おかしい……。そんな……。」 主人公も画面を覗き込む。しかし。文字は崩れていた。何か表示されようとしている。 だが読めない。 すぐ消える。 また現れる。 また消える。 受付は深く息を吐いた。 「申し訳ありません。こちらも判定できませんでした。」 「判定できない?」 「はい。」 「スキルが存在しないわけではありません。ですが……。解析できません。」 周囲がさらにざわつく。 「魔力ゼロでスキル不明?」 「なんだ、あいつ。」 「呪われてるんじゃないか?」 受付は少し困ったように笑った。 「安全面を考えますと……。本日よりFランクとして登録いたします。」 主人公はうなずいた。表をみると最低のランクだった。 「お願いします。」 受付は依頼書を一枚渡した。 「Fランクですと、初心者向けのお仕事がいいですね。こちらの薬草を十本採取してください。街の西側に草原があります。魔物が出ることもありますので、お気を付けください。」 主人公は剣を見た。 「魔物……か。」 草原。風が気持ちよく吹いている。主人公は依頼書を見ながら歩く。 「この葉っぱかな?」 「違う。」 「あっ。」 「これか。」 少しずつ薬草を集めていく。 「あと二本。」 その時だった。 ガサッ。 草むらが揺れる。主人公は顔を上げた。緑色の小さな魔物。鋭い牙。棍棒。主人公の表情が固まる。 「……ゴブリン!?」 ギルドで聞いたばかりの名前のモンスターだった。ゴブリンはニヤリと笑い、棍棒を振り上げる。 「ギャアアッ!」 主人公は思わず後ろへ飛び退いた。 「うわっ!」 心臓が激しく鳴る。 「本当に出た!」 慌てて背中の剣を抜く。旅の巫女から譲ってもらった剣。 シャリン──。銀色の刃が姿を現した。主人公は両手で握る。 「ど、どう持つんだ!?右!?左!?いや、両手!?ああ、剣なんて学校でも習ってないぞ!」 ゴブリンが距離を詰める。主人公は必死に構える。 「来る!」 棍棒が振り下ろされる。 ガンッ! なんとか受け止めた。 「ぐっ!」 腕がしびれる。 「重い……!」 押し返される。 「まずい……!」 その瞬間だった。主人公の視界に文字が浮かぶ。 ユニークスキルを発動します スキル名「Overtake」 対象:ゴブリン 同期能力 ・戦闘力 同期 +ADD ・防御力 同期 +ADD ・敏捷力 同期 +ADD ・魔力  同期不可 主人公は目を見開く。 「え……?何これ?」 文字はすぐ消えた。同時に。体が少し軽くなる。ゴブリンが再び襲ってくる。主人公は無意識に横へ動いた。 「避けた……?」 さっきより少しだけ動ける。そのままゴブリンの棍棒を受け止める。 「さっきより重くない……!?いや、違う。ぼくの力に、何かが足されたような……。」 主人公は剣を振る。 ザシュッ。 浅く腕を斬る。 「やった!」 しかしゴブリンはまだ立っていた。怒り狂ったように突進する。 「うわぁ!」 主人公は転びそうになりながら必死に踏みとどまる。 「落ち着け……!怖い……!でも!やるしかない!」 ゴブリンが飛び掛かる。主人公は叫びながら剣を振る。 「うわあああっ!!」 ザンッ!! 剣はゴブリンを切り裂いた。ゴブリンは数歩ふらつき、静かに倒れる。 草原に静寂が戻った。主人公はその場へ座り込む。 「はぁ……。はぁ……。」 その場へ座り込み、大きく息を吐く。その時、再び視界へ文字が浮かんだ。 「Overtake」同期終了 文字は静かに消えていく。息を切らしながら主人公は小さくつぶやく。 「終わった……のか?」 剣を握っていた腕に、急に重さが戻る。 「このスキルのおかげ……なのかな?よく分からない。でも、なんとか戦えた…。」 剣を見つめる。 「この剣も……。あの人には本当に感謝しないとな。」 ゆっくり立ち上がる。街を見つめる。 「魔物がいて、ギルドがあって…。ぼくには魔力はないけど、なぜかスキルはあった…。」 主人公は青空を見上げた。 「もう認めるしかない。」 少し笑う。 「ここは、ぼくがいた世界じゃない!」 静かな風が吹く。主人公は剣を鞘へ納める。 「元の世界に帰る方法はまだ分からない。でも、それまでは…。」 主人公は薬草の入った袋を握り締めた。 「このスキルで、この世界で、生きていくしかない。」 主人公はゆっくりとギルドへの道を歩き始めた。