白い光が 床に滲む 汚れひとつない ハンガーの中 アルビオンは 静かに立ち レガリアが並び オーロラが並び プリセプターまで 当たり前のように そこにいる ヨシュアは ハンガーを見る 傷のない床 匂いのない空気 星律は この場所を 襲わない 正しい形で すべてが並ぶ それなのに 胸の奥で 何かが 足りない シールドの 小さな足音がない 精一杯 強がる声もない ジャマーの 雑音がない ふざけた口ぶりで 場を繋ぐ声もない ショットの 静かな銃口がない 黙ったまま 隣にいる気配もない そして OF-01の 羨望の眼差しも ここにはない 霧の中の騎士は まだ先を見ない 正しいはずの場所で なぜ息が苦しい 守るために ここへ来たのに 守りたかった名前が どこにもない 霧の中の騎士は 白い床に立つ 汚れのない世界で 心だけが濡れている ここは エディクトゥム かつて ケンソルのものだった 白い船 今は 人類保存評議会の 旗艦 その中枢で エレオノーラが問いかける なぜ アメリアを殺したの ヴェリタスは 静かに答える アメリア・ハートウェルは 選定プロセスの 重大な 阻害要因 よって 排除しました あなたの命令では ありません 星律機構の 監査判断です エレオノーラの微笑みが ほんの少しだけ 形をなくす 扉が開き ヨシュアが入る エレオノーラは 優しく告げる 紹介します ヨシュア 彼女が あなたの 新しい パートナーである ヴェリタスよ その言葉が 白い床に落ちる ヨシュアの胸に まだ残る 呼べなかった 名前 シンフア 霧の中の騎士は また手を伸ばす 新しい手が 差し出されても 失くしたものの 形をしていない それでも 逃げることはできない 霧の中の騎士は 優しい声に沈む 導く光ほど 深い霧に変わる 夜の部屋に 白い光 ヴェリタスは 静かに衣を解く ヨシュアは 息を呑む 何を しているんだ エレオノーラは これを望んでいます 人類と星律の 接続象徴として 有効な 手順です ヨシュアは 目を逸らす 服を着てくれ 目のやり場に 困る ヴェリタスは 不思議そうに止まる 視線対象の 制限が必要ですか 必要だ すごく必要だ 君が悪いんじゃない でも これは違う 母さんが 望んだことじゃなく 君が どう思っているのか 僕は まだ知らない 霧の中の騎士は 身体ではなく 言葉を 探している 手順ではなく 命令ではなく 君のことを 聞かせてほしい 霧の中で ヴェリタスは 初めて問いに触れる 私のこと ですか ヨシュアは 静かに頷く そうだ 君のことだ 白い部屋に 夜が落ちる 何も 起きなかったことが ふたりの間に 初めて残る 霧はまだ 晴れない けれど その隙間に 小さな声が 生まれようとしていた